スマートフォンとタブレット型端末の普及率推移

2023/06/12 02:00

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デジタル端末として、インターネットへのアクセス機器として、今スポットライトを浴びているのがスマートフォンとタブレット型端末。似て非なる存在であり、パソコンの代替機として注目を集め、両者の特性を併せ持つ「ファブレット」(大きめのスマートフォン。サイズ的にはスマートフォンとタブレット型端末の中間)も区分種類として登場するほど。今回は内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】において2014年分から詳細区分によるデータ取得が始まった、この2種類の端末について、いくつかの切り口から普及率などの動向を確認していくことにする。

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世帯普及率と保有世帯の保有台数推移


「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明している。必要な場合はそちらを参照のこと。

まずはスマートフォンとタブレット型端末の、世帯単位の普及率推移。消費動向調査で両機種が明確に区分の上調査されたのは2014年からなので、現時点では10年分のデータが取得できる。なお1世帯に何台所有機が存在しても、普及率は変わらない。例えば1世帯にスマートフォンが10台あったとしても、その世帯の普及率が1000%にはならない。

↑ スマートフォン普及率(世帯単位、世帯種類別)
↑ スマートフォン普及率(世帯単位、世帯種類別)

↑ タブレット型端末普及率(世帯単位、世帯種類別)
↑ タブレット型端末普及率(世帯単位、世帯種類別)

直近2023年において総世帯における世帯ベースでの普及率は、スマートフォンでは89.9%、タブレット型端末では38.7%。単身世帯・二人以上世帯双方とも前年から比べ、一様に増加傾向を示している。スマートフォン・タブレット型端末ともにいくぶん単身世帯の方が上昇率は高め。

保有世帯における平均(台)数は次の通り。

↑ スマートフォン保有数(保有世帯あたり、世帯種類別、台)
↑ スマートフォン保有数(保有世帯あたり、世帯種類別、台)

↑ タブレット型端末保有数(保有世帯あたり、世帯種類別、台)
↑ タブレット型端末保有数(保有世帯あたり、世帯種類別、台)

タブレット型端末では2015年で単身世帯において保有数の大きな減少が見られた。2016年以降はほぼ横ばいに推移しており、「とりあえず1台」の新規保有世帯が増えたことによる平均台数の低下が生じたものと考えられる。あるいは2014年の値がイレギュラーだった可能性も否定できない。二人以上世帯ではおおよそ増加の傾向。これが総世帯の増加を後押ししている形となっている。単身世帯では2019年以降は台数が増加の動きを見せたが、2021年以降は逆に減少の流れに転じている。

スマートフォンでは二人以上世帯における台数が漸増中。幼い子供がいる世帯で、従来型携帯電話ではなくスマートフォンを持たせる世帯が増えてきたのだろうか。

世帯年収別では?


続いて世帯年収別。二人以上世帯と単身世帯を合わせた総世帯では、世帯年収別動向を確認してもあまり意味がないことから、単身世帯・二人以上世帯それぞれに区分した上で世帯年収別の推移を見ていくことにする。内容的には【パソコンの年収別普及率現状】との比較が興味深い。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300-400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。

まずはスマートフォン。

↑ スマートフォン普及率(単身世帯、世帯年収別)
↑ スマートフォン普及率(単身世帯、世帯年収別)

↑ スマートフォン普及率(二人以上世帯、世帯年収別)
↑ スマートフォン普及率(二人以上世帯、世帯年収別)

単身世帯では高年収層で多分なばらつきが生じているが、これは該当世帯数そのものが少ないことから生じたぶれによるもの(加えて、世帯年収が高い単身世帯は高齢層となることが多いため、年齢が強く影響してしまう)。もっとも直近年の2023年ではおおよそ前年から値を積み増ししている。9割ぐらいが天井のようだ(世帯年収が高い世帯がいくぶん低めに出るのは少なからず高齢層とかぶるため)。他方二人以上世帯ではほぼきれいな形でゆるやかな上昇が生じている。世帯年収が高い世帯ほど高普及率が維持されたまま、すべての世帯年収層で年の経過とともに底上げされている形。ただ世帯年収が高い世帯では頭打ちが生じているようにも見える。

タブレット型端末もおおよそ同じスタイルを見せている。

↑ タブレット型端末普及率(単身世帯、世帯年収別)
↑ タブレット型端末普及率(単身世帯、世帯年収別)

↑ タブレット型端末普及率(二人以上世帯、世帯年収別)
↑ タブレット型端末普及率(二人以上世帯、世帯年収別)

単身世帯ではスマートフォン同様にイレギュラー(さらに2015年の1200万円以上世帯は該当世帯数そのものが少数なため、有効値が存在しない)が生じているが、世帯年収が高い世帯ほど高普及率、年を経るほど普及率の上昇の動きが確認できる。直近年では世帯年収550万円以上の二人以上世帯において、半数以上でタブレット型端末を保有していることになる。

年齢別と男女別…は単身世帯のみで


最後は世帯主の男女別や年齢区分別の保有率だが、これは単身世帯のみで精査を行う。二人以上世帯では世帯主と配偶者の世代が近い事例がほとんどだが、子供のいる・いない、さらには子供の年齢により保有状況が大きく変化する可能性がある。そのような状況下で経年変化を見ても、さほど大きな意味はない。

一方で単身世帯の場合は、世帯主=世帯構成員全員であり、世帯主の属性や年齢による普及率動向の精査はそれなりに意味があると判断した次第。

↑ スマートフォン普及率(単身世帯、世帯主男女別・年齢階層別)
↑ スマートフォン普及率(単身世帯、世帯主男女別・年齢階層別)

↑ タブレット型端末普及率(単身世帯、世帯主男女別・年齢階層別)
↑ タブレット型端末普及率(単身世帯、世帯主男女別・年齢階層別)

男女別ではスマートフォンは女性の方が、タブレット型端末は男性の方が普及率は高い。タブレット型端末では男性の方が高いのは、「必要性」「デジタル機器の関心度合いは男性の方が強い」「普及率が低い高齢層は女性の方が構成人数比率が高い」などが原因だろう。

スマートフォンは30代、タブレット型端末は40代までは高い値を維持し、それより上の年齢階層になると減少の動きを示している。日常生活の上での必要性が、普及率を底上げしているのだろう(タブレット型端末は特に、幼い子供がいる世帯に大きな需要があるからだろうか)。

両端末のグラフを見直すと、スマートフォンでは40代までと50代の間、タブレット型端末では50代と60代の間で、大きな差異が生じている(スマートフォンはこの数年で50代と60代が大きく伸びて差を縮める動きを示しているが)。差異が生じる年齢階層が異なるのは注目に値する。単純に就業現役層か引退層かの違いによるものや、身体的な対応能力によるものとは違うようだ。


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