単身世帯のコーヒー飲料が増加…単身・二人以上世帯での各種飲料利用性向(家計調査報告(家計収支編))
2023/05/19 02:00
食事の際に飲み物は欠かせないが、一番容易に、しかも安価で手に入る「水」で済ますのは言葉通り味気ない。多くの場合、何らかのし好品を選んで調達し、あるいは素材から作り上げ、食事に一層の彩りを添えることになる。今回は各種飲料品のうち主要な品目としてコーヒー、コーヒー飲料、牛乳、お茶類、ミネラルウォーター、の5項目を取り上げ、総務省統計局が2023年2月7日にデータ更新(2022年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】を基に、その消費における現状などを確認していくことにする。
スポンサードリンク
コーヒーとミネラルウォーターが増加
次以降のグラフは家計調査報告(家計収支編)の二人以上世帯、単身世帯の公開値から、必要なデータを抽出して作成したもの。双方区分の世帯を合わせた総世帯ではなく、別個で確認するのは、それぞれの世帯種類で消費性向が大きく異なるからである。またグラフ中や文中に登場する購入世帯数、世帯購入頻度などの言葉の意味に関しては、先行記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出金額(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】などですでに解説済みなので、そちらを参照のこと。
対象項目は飲料項目中の茶類、コーヒー、コーヒー飲料、牛乳、ミネラルウォーター。具体的な区分内容は【収支項目分類およびその内容例示(令和2年1月改定)】では次の通りに説明されている。
なおコーヒー牛乳は今回検証外の乳飲料(38A)に該当する。
まずは月次の購入世帯頻度。世帯単位での動きであることに気を付けてほしい。単身世帯は当然本人自身のみ、そして二人以上世帯の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」にカウントされないので、「世帯全体のお財布から買った」ものだけ)「世帯の購入」として該当する。
↑ 各種飲料の世帯購入頻度(月あたり、世帯種類別)(2022年)
牛乳の購入頻度が二人以上世帯では月4.2回ほどと、単身世帯の2倍以上の値を示している。これは「健康のため」と高い頻度で子供に飲ませているのが原因と考えられる。また、複数人数では500ミリリットル・1リットルの紙パックでも消費されやすい=購入頻度が高まるとの事情も容易に想像ができる。仮に大人子供を問わず1日200ミリリットルを飲む場合、1リットルの紙パックは単身世帯なら消費し切るまでに5日ほど必要となるが、子供一人の夫婦世帯ならば2日足らずで消費し終えてしまう。
一方、缶コーヒー”など”が該当するコーヒー飲料(「コーヒー」は粉状のもの)、そしてミネラルウォーターは単身世帯の方が高い頻度で買い求めている。コーヒーは二人以上世帯の方がよく買われている状況を見ると、単身世帯ではコーヒーを作るのが面倒だが、コーヒーそのものは飲みたいとする意向が強いようだ。あるいは分量上の問題もあるかもしれない(一人では消費しきれず、少量パックは割高)。
経年推移は後程別途記事で詳しく解説するが、前年比を算出したのが次のグラフ。
↑ 各種飲料の世帯購入頻度(月あたり、世帯種類別、前年比、ppt)(2021年)
単身世帯での茶類が大きなマイナス、コーヒー飲料がプラス。あとは正直なところ、統計上の誤差とみてよいだろう。2022年はラニーニャ現象の影響で猛暑だったが(気象庁も「夏(2022年6〜8月)の日本の平均気温は顕著に高く、統計を開始した1898年以降で2番目に高い記録となりました」と言及している(【夏の日本の平均気温と日本近海の平均海面水温の顕著な高温について】))、茶類の世帯購入頻度が単身世帯で大きく減ったのは不思議な話ではある。あるいはコーヒー飲料にシフトしたのだろうか。
支出金額ベースで状況を確認
これを支出金額ベースで確認したのが次のグラフ。一応、二人以上世帯では一人あたりも試算して、グラフを併記しておく。「一応」としたのは人数計算にあたっては子供も含まれるため。それを合わせて平均化した値は、成人のみが対象となる単身世帯とは、厳密な上での比較はできないため。
↑ 各種飲料の支出金額(月あたり、世帯種類別、円)(2022年)
↑ 各種飲料の支出金額(月あたり・一人あたり、世帯種類別、円)(2022年)
支出金額で見ると世帯ベースでは牛乳の二人以上世帯の値が著しい。一人あたりで見ればやや落ちるが、実態として世帯構成員全体が飲んでいるとは限らないことを考えれば、やはり二人以上世帯は個人ベースでも牛乳消費に積極的と見てよいだろう。
またコーヒー飲料を「缶コーヒー・ドリップコーヒーは1本(1人前)100円」の前提で試算すると、単身世帯は3.9本ほど/月、二人以上世帯は一人あたり1.4本ほど/月飲んでいる計算になる。
世帯購入頻度同様に茶類の消費金額が、イメージしているよりも大きいように見られる。これは高齢者世帯も算出対象なのが一つ、そしてもう一つは、緑茶だけでなく紅茶、麦茶、ウーロン茶なども含まれるのが原因。特に夏場には麦茶の消費量が多くなる世帯も多々あるはずだ。
ミネラルウォーターは世帯区切りではやや二人以上世帯の方が金額は上だが、構成員区切りでははるかに単身世帯の方が利用金額が大きい。二人以上世帯では消費量も大きくなるのでとても手が出せないか、単身世帯は飲み水にも強いこだわりを見せているのかもしれない。
今件では特にコーヒーとコーヒー飲料の間で、単身世帯と二人以上世帯の違いを見出すことができる。またコーヒー飲料やミネラルウォーターはここ数年の経年変化が気になるところ。これについては本文でも触れている通り、機会を改めて解説することにしよう。
■関連記事:
【家庭内のたまごや牛乳の摂取頻度動向】
【コンビニコーヒーのリピート率8割超え】
【カフェ優勢、コンビニは2割…淹れたてコーヒー利用性向】
【緑茶おにぎり コーヒーはパン…コンビニ好相性な組合せ】
【お茶飲料 重視ポイント 一つだけ 「価格」以上に 「飲みやすさ」かな】
スポンサードリンク