販売店は22.9万件・自販機数は9.2万台…たばこ販売店と自動販売機の推移
2023/08/25 02:00
2010年10月のたばこ税大幅引き上げに伴うたばこ価格の大規模な値上げに始まり、2011年3月の東日本大地震・震災による生産ラインや流通網の停止などによる需給バランスの大幅な乱れと、それをきっかけとする銘柄の整理統合、2014年4月・2019年10月の消費税率引き上げに対応した販売価格の値上げ、2016年4月のJT内財政体質強化のための値上げ、2017年4月以降におけるたばこ税の軽減措置の段階的縮小・廃止やたばこ税の引き上げに伴う値上げ、そして中長期的に進んでいる健康志向によるたばこ離れの加速化。ここ数年に限っても、たばこを取り巻く環境はより一層厳しくなっている。そこでたばこの発売元である【JTの統合報告書】などを基に、たばこの販売許可店と自動販売機の推移をグラフ化した上で精査し、現状を把握しておくことにした。
スポンサードリンク
まずはたばこ販売許可店。詳しくは【JTの解説ページ たばこ販売の仕組み】にある通り、たばこは誰もが自由にたばこを売れるわけではなく、許可申請をして「許可店」の許しを得た上で、はじめて業者として販売が可能になる。
↑ たばこ販売の仕組み。実線は商品の流れ、破線は申請・許認可などの流れを示す(JTサイトより転載)
さてその販売許可店だが、今世紀初頭をピークに少しずつ、そして確実に減少する傾向にある。
↑ たばこ販売許可店数(万店)(各3月31日時点)
特に2011年以降は、店数の減少度が大きくなっているように見える。これは「併設している自動販売機の撤去による採算の問題(自販機に稼いでもらい、店頭販売は半ば趣味的に商売を行うスタイルが成り立たなくなった)」「店主の高齢化による引退・閉店」「たばこ需要の低迷による売上の減少で利益が出なくなった」など、複数の要因が重なったもの。採算ラインぎりぎりにあった店舗が需要の低迷で、次々とシャッターを閉じていると考えればよい。
一方、たばこの自動販売機数はどのような変移を見せているのか。こちらは店舗数以上に急激な減少傾向にある。
↑ たばこ自動販売機数(万台)(各12月31日時点)
【JT内「たばこについてのよくあるご質問」】にもあるように、財務大臣の許可など条件さえ整えばたばこの自動販売機そのものは無料で貸与を受けることができる。このたばこ自動販売機を「JT貸与機」と呼んでいる。この「JT貸与機」は2018年12月末時点で2.3万台(2019年分以降は非公開化)、同時期における全たばこ自動販売機の約15%。1999年から2000年の伸びは、この「JT貸与機」の大幅な伸びが起因(1999年3月末時点で14.6万台だったものが2000年3月末には19.3万台、そして2001年3月末には22.0万台にまで増加している)。
その後自販機数はほぼ横ばい状態にあったが、【たばこ自販機が消える 上がらぬ「タスポ」普及率に販売店が悲鳴(日経ビジネス)】などで解説されているように、貸与機に関する契約内容の変更、そしてタスポの導入(リース料は無料だがタスポ導入費用は設置側持ち。しかも導入後、手間がかかるなどの理由で利用者も減少=売上も減少)により、設置継続を断念するところが増え、結果として台数は急激に減少してしまう。
現在の最新データでは2022年末時点でたばこ自動販売機台数は9.2万台。先の震災による直接の被害以外に、その後の生産調整に伴う入荷数・種類の減少、節電対策としての販売機自体の一時停止など、マイナス要素が畳みかけるように発生しているため、減少度合いに歯止めはかからない。毎年前年比で1割前後の台数が減少しているのが現状である(直近年では前年比マイナス20.7%!)。
嫌煙家からは「タバコ購入のハードルを低くする一因」として非難の対象となり、喫煙者からもタスポの導入で「購入に難儀する」として避けられるようになったたばこ自動販売機。ひっ迫する中での過度の節電の時期は幸いにも過ぎたものの、いまだに主要照明を落としたままのものも多く、中には節電のために停止したのち、本体そのものが撤去されてしまった事例も少なくない。コンビニでたばこを調達する事例が増えたのも要因だが、今後も台数減少傾向には歯止めがかからない感は否めまい。
■関連記事:
【国税・特別税・地方税あわせて1本あたり15.244円…たばこ税の推移(最新)】
【食品専門店への色合い強まる…コンビニの商品種類別売上の変化(最新)】
【2022年度第4四半期の紙巻たばこ販売本数はプラスマイナス0.0%(最新)】
スポンサードリンク