女性に人気の軽自動車、年々所有率も増える傾向だったが

2023/10/10 02:00

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ソニー損害保険は2023年7月27日付で、カーライフの実態に関する調査結果の最新版となる2023年版を同社公式サイト上に公開した。その内容によると、自家用車を所有し常用する調査対象母集団のうち、常用車両が軽自動車とする人は3割台であることが分かった。女性に限れば10-20代は5割を超えている(【発表リリース:ソニー損保、「2023年 全国カーライフ実態調査」】)。

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女性に人気の軽自動車、10-20代では5割強


今調査の調査要項は先行記事【車の負担、もっとも重く感じられるのは自動車税(最新)】を参照のこと。

馬力や運送能力では普通車にかなわない面も多いが、小回りが利き運用コストも安上がりで済むのが軽自動車の長所。中長距離の運転ならともかく、日常生活における移動手段として、都市近郊だけでなく地方でも重宝されている。「自家用車を所有し月1回以上は運転する」今調査対象母集団でも、主に運転する車種として挙げられたもののうち3割台は軽自動車との結果が出ている。

↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(属性別)(2023年)
↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(属性別)(2023年)

男女別では全年齢階層で男性よりも女性の方が軽自動車率は高い。これは男性が仕事で使う、家族揃っての旅行や自分自身の趣味や娯楽で使う場合など、中長距離の利用が多く、軽自動車では難儀するケースもある一方で、女性はパート先や買い物、子供の送り迎えなど比較的近場への運転が多くなるため、軽自動車で十分対応できるものによると考えられる。要は利用スタイルに従い、軽にするか否かを選択しているまでの話。

年齢階層別では、男性では大きな違いはなし(50代では高くなるが)。他方女性は10-20代で高い値を示すが、これは運用コストのメリットを重要視した結果だろう。また、

軽自動車運転率の経年変化


この軽自動車運転率について、今件調査の経年データをまとめたのが次のグラフ。

↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(男性、年齢階層別)
↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(男性、年齢階層別)

↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(女性、年齢階層別)
↑ 主に運転している車が軽自動車である割合(女性、年齢階層別)

全体では2016年をピークとする形で漸増していたものの、それ以降は大きく減少、その後は再び増加の動き。しかし2022年以降は再び減少を示している。

男性では10-30代では2015年以降は横ばいか減少に。2021年で大きく跳ねた程度。40-50代では2015年に大きく伸びたがそれがピークで、それ以降はおおよそ漸減。ここ数年で再び上昇に転じたような雰囲気が見られる程度。2015年の急上昇に関しては、2014年4月の消費税率引上げ、2015年4月以降の購入新車の軽自動車に対する軽自動車税の増税と、軽自動車に係わる金額負担の増加イベントが相次いだため、それに先立つ形での駆け込み需要が生じた可能性もある。2023年の50代での大きな伸びはイレギュラーだろうか。

女性では10-20代は漸減、2016年を底として再び増加、2019年を頂点にそれ以降は再び漸減。30代では2016年をピークとして漸減していたが、2018年を底に再び伸びたが、2021年を頂点にそれ以降は下落。40代では2015年をピークとして漸減が続いており、2021年以降はやや持ち直しか、という程度の雰囲気(直近では大きく伸びたが)。50代は2017年に大きく落ちたがそれ以降は再び増加の動きを示した後、2021年からまた減少に。年齢階層別でそれぞれ異なる動きを示しており、全体的な法則性のようなものは見出しにくい。

2017年に多くの属性で生じた減少について当時の報告書では「軽自動車の人気にかげり?」と説明するとともに、コンパクトカーやSUV・クロカンが増加していることを指摘していた。各属性の回答者数が少ないのでぶれが大きいが、実際コンパクトカーは2017年に限れば多くの属性で前年比から増加しており、使用目的では軽自動車と近いところがあるコンパクトカーに需要がシフトしたように見える。むしろ、コンパクトカーだけでなくミニバンなど同じような機能が期待できる他機種を選択する人が増えた、つまり選択肢の多様化が原因だと見た方が道理は通る。

軽自動車に関しては今件調査に限らず、普及率・利用率の増加が伝えられ、実数値も各種統計調査で確認できる。利点の一つである税金の安値感については状況が変わりつつあるが、それでもランニングコストの低さや機動性の高さは今なお揺らぐところがない。

今後は利用スタイルで共通点が多いミニバンやコンパクトカーとともに、さらに需要が高まるに違いない。


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