非常食として欠かせないミネラルウォーターやカップ麺の購入はどの地域が盛んなのだろうか

2023/10/26 02:00

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1923年9月1日に発生した関東大震災を受け、9月は防災月間と定められている。災害に備えて用意されることが多い非常食の中でも、すぐにイメージが思い浮かぶのがミネラルウォーターやカップ麺だが、これらの購入はどの地域で盛んなのだろうか。総務省統計局の家計調査の結果を基に確認する。

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まずは直近となる2022年におけるミネラルウォーターやカップ麺の都道府県別支出金額の実情。総務省統計局の【家計調査年報】の値を用いて勘案する。対象となるのは総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合計。要は全部の世帯)で、年間の支出金額。例えば2022年のカップ麺は全国で4622円とあるので、1世帯あたり全国の総世帯では年間で平均4622円分のカップ麺を購入していることになる。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

カップ麺で最大の支出金額を示したのは長野県の6775円。突出した値を示しているが、直接的な原因は見当たらない。2022年に長野県で大規模な台風などの自然災害が発生していれば、カップ麺を普段の食事として買わざるを得なくなったケースが生じたり、防災意識の高まりによる需要の拡大が生じた結果が推定できるのだが。

それ以外では特段地域別の傾向だった動きは見当たらない。北日本や東日本の日本海側で多いように見受けられる程度。特定地域に限れば、東京都で3774円と全国平均よりも低い支出金額にとどまっているのが意外ではある。一方大阪府では4657円と、全国平均とほぼ同じ支出金額となっている。

ミネラルウォーターは群馬県が5917円ともっとも高く、次いで山口県の5377円、沖縄県の5286円と続く。群馬県利根郡みなかみ町に2022年3月にJR東日本クロスステーションがミネラルウォーターの新工場の稼働開始をしており、これが影響した可能性がある。また沖縄県については、水道水に消毒として使われるカルキ臭が強いことから(【水道水のカルキ臭が気になります。取り除く方法を教えてください(那覇市上下水道局)】)、ミネラルウォーターの需要が高く、相場も安いのが原因のようだ。

地域別動向としては関東、東海、四国にやや高めの値が出る傾向があるように見える。東海で多めなのは、ミネラルウォーターの名産地が多いのも一因かもしれない。

よい機会でもあるので、最古の値となる2005年分と直近値の2022年分との比較を行う。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)

先行記事【非常食として欠かせないミネラルウォーターやカップ麺の購入は増えているのだろうか(最新)】でも解説している通り、普段の食生活の中で使う機会が増えていることから、全国平均はもちろん、ほとんどの地域でプラスの値を示している。カップ麺では長野県のプラス161.0%と沖縄県のプラス160.9%が際立っている。一方で、東日本大震災で大きな被害を受けた被災3県(岩手県、宮城県、福島県)は特別な増加ぶりを示していないのは意外なところ(福島県がプラス106.8%と、やや大きめというところか)。防災意識の高まりから、備蓄品としてのカップ麺の需要が大いに増えるようにも思えたのだが。

ミネラルウォーターでは群馬県のプラス508.7%が際立つ増加ぶり。次いで三重県のプラス240.0%が続く。地域別の傾向としては関東で伸び率が鈍い、東北や中部、近畿で安定した伸び方が見られるなどが挙げられよう。前者については元々多くの人が普段の食生活の中で使っていたからだろうか。後者は台風などによる災害への備えの意識が高まったのも要因かもしれない。



ミネラルウォーターもカップ麺も、ある程度日持ちのする食品に違いない。普段の食生活の中で使う機会が増えたとしても、その特徴に変わりはない。まとめ買いをして、古いものから食べ、食べた分だけ新しく買い足すことで、実質的に備蓄非常食として使うこともできる。

普段の食生活の中で使う機会が増えたミネラルウォーターやカップ麺について、少々購入・消費の仕方を変えることで、備蓄非常食としての役割も担わせることができる点は、覚えておいた方がいいだろう。


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