お一人な高齢者、女性は男性の1.78倍…高齢者世帯数の推移

2023/09/10 02:00

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厚生労働省は2023年7月4日に同省公式サイトおよび総務省統計局のデータベース「e-Stat」において、令和4年(2022年)版となる「国民生活基礎調査の概況」を発表した。この調査は国民生活の基本事項を調べ、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているものだが、今回はその中から「高齢者(65歳以上)”のみ、あるいはこれに加えて18歳未満の未婚の人”がいる世帯の具体的な家族構成分布」について確認を行うとともに、その状況を推し量ることにした。例えば「高齢者のみの単身世帯」には男性のみと女性のみの事例が考えられるが、男性と女性ではどちらが多いのだろうか、その実情を知ることができよう(【発表ページ:令和4年 国民生活基礎調査の概況】)。

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今調査の調査要件および注意事項は、先行記事の【世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】にて説明している。そちらを参考のこと。

今回対象とする世帯は「高齢者世帯」と呼ばれているもの。具体的には「65歳以上(高齢者)のみで構成されている、あるいはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯」を指す。

この「高齢者世帯」の具体的な世帯数構造とその推移を示したのが次のグラフ。直近の20212年においては、男性のみ世帯数が1.00とすると、女性のみ世帯数は1.78、夫婦(ともにお年寄り)のみ世帯が2.41の割合となっている。なおグラフ中の注記は無いが2012年分は福島県では未調査となっているため、その分の値は除外されている。また2020年分は新型コロナウイルス流行の影響で調査そのものが行われておらず、値が存在しない。

↑ 高齢者世帯数(世帯構造別、万世帯)
↑ 高齢者世帯数(世帯構造別、万世帯)

この40年近くの間(1986-2022年)に高齢者世帯数そのものは7.17倍、男性のみの単身世帯に限れば12.76倍にまで増加した計算になる。増加率は男性単身世帯の方が大きいが、絶対数は女性単身世帯の方が1.80倍ほどで、559万2000世帯にもおよぶ。これはひとえに女性の方が寿命が長いことによるものである。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単身世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる(5年おきに行われる国勢調査の結果【自分の歳で結婚している人は何%? 結婚状況の実情(最新)】もそれを裏付けている)。

女性の長寿命を別の視点で確認できるのが次のデータ。男女それぞれの高齢者単身世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化が著しい。

↑ 高齢者単独世帯の年齢階層別構成割合(男女別)(2022年)
↑ 高齢者単独世帯の年齢階層別構成割合(男女別)(2022年)

例えば80歳以上で区切ると、男性は27.1%・女性は44.7%と、17.6%ポイントの開きがある。一人暮らしをしている高齢者のうち、男性はおおよそ4人に1人・女性は5人に2人が80歳以上と表現を変えてみると、一人暮らしのお年寄りのリスクの高さが改めて認識できる。

高齢者世帯の増加に伴い、【バリアフリー、普及率は約半分。アパート・マンション少々低めか】でも示したようなバリアフリーに関する問題、「買物困難者」に代表される社会生活上のインフラの対応、そして健康管理など、多種多様な問題が表面化し、トラブルの増加が容易に想像される。サポートの判断基準も併せ、各種対策が急務であることはいうまでもない。


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