増える独り身・高齢者のみ世帯…高齢者がいる世帯の構成割合
2023/09/09 02:00
厚生労働省は2023年7月4日付で、平成4年(2022年度)版「国民生活基礎調査の概況」を同省公式サイト上などに公開した。国民生活の基本事項を定期的に調査しデータ化したものだが、今回はその中から「高齢者(65歳以上)がいる世帯の家族構成分布」の推移について、状況の確認を行うことにした。高齢者のみの世帯、さらには高齢者のみの単身世帯の増加が社会問題化している昨今だが、その実情を知ることができよう。特に高齢者のみの単身世帯に関しては、社会の上での孤立化にとどまらず、いわゆる「孤独死」問題も合わせ、留意する必要がある値といえる(【発表ページ:令和4年 国民生活基礎調査の概況】)。
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今調査の調査要件および注意事項は、先行記事の【世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】にて説明している。そちらを参考のこと。
高齢者(65歳以上)の人口、そして日本全体の人口に占める高齢者の割合が増加の一途をたどっているのは、すでに【「お年寄りがいる家」のうち28.3%・638万世帯は「一人きり」(最新)】など多数の記事でお伝えしている通り。その高齢者がいる世帯は、どのような家族構成なのか、特に社会問題視されている「お年寄りが一人のみの世帯」の比率は増加しているのか否か、気になるところ。今件は今回発表された2021年分の値までを反映させたものとなる。
↑ 65歳以上の人がいる世帯数の構成割合(世帯構造別)
最新の2022年分における調査結果では、お年寄り一人だけの単身世帯は31.8%。高齢者がいる世帯のうち、3割強は「その高齢者が1人だけの世帯」となる。また、子供や孫がおらず、夫婦(大抵の場合は双方とも高齢者)だけの高齢者世帯「夫婦のみ世帯」は32.1%。これらを合わせた「お年寄りだけの世帯」は63.9%となり、過半数を占めるどころか6割強となる。
興味深いのは世帯比率で見た場合、中期的な流れとして
・減少……三世代世帯
となり、減少しているイメージのある「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」も増加傾向にあったこと(2013年以降20%内外でほぼ横ばい)。【2022年は前年比プラス2万人、100万人超え…高齢フリーターの推移(最新)】などと関連させて考えると、「高齢者と、離婚して出戻り状態の子供、あるいは晩婚化などで結婚待ち、さらには結婚をするつもりのない中年層(30-40代、あるいは50代まで)」との家族構成が増加していた感はある。そして該当する高齢者を介護するために、親と同居している事例も想定可能だが、残念ながら国民生活基礎調査ではそこまでの調査は行われていない(介護そのものの設問はある)。
直近年では三世代世帯の比率は7.1%。高齢者がいる世帯のうち、祖父母とその子、さらに孫がいる、昔の物語ではよく登場する構成を持つ世帯はすでに1割を切ってしまっている。
また2013年以降では「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」の動きも微妙なものとなっている。振れ幅がやや大きいが、増加ではなく頭打ちの感がある。これは【「近居」は進んでいるのか…高齢夫婦のみ世帯と子供の住む家との距離の関係を探る(2016年)(最新)】など別記事でいくつか紹介している、高齢層とは同居せず、近い距離同士で別居する「近居」のスタイルが普及浸透しているのが一因かもしれない。その場合、今調査においては「単身世帯」「夫婦のみの世帯」のいずれかに該当することになる。
何かリスクとなるような事象(例えば室内における熱中症、不意の転倒による骨折などで歩行が困難になる事案、ぎっくり腰)が発生した場合、高齢者のみ、特に一人身の世帯では手遅れになる可能性は高い。また、日常生活においても買物困難者問題や高齢ドライバー問題をはじめ、社会インフラの観点で、高齢者のみの世帯の増加は大きな問題の要因となる。各種対策について、行政側は早期の対策とその実行が求められよう。
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