世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移
2023/09/09 02:00
厚生労働省は2023年7月4日、令和4年(2022年)版の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。これは国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているものだが、資料性の高いデータが豊富に盛り込まれており、精査に値する内容のものである。今回はその中から「平均世帯人数と世帯数の推移」の長期的動向をグラフ化し、状況の変化を確認することにした。単身世帯(一人身世帯、単独世帯)の増加に伴い平均的な世帯あたりの人数は減少傾向にあるとの話はよく耳にするが、その実態を把握できる結果が出ている(【発表ページ:令和4年 国民生活基礎調査の概況】)。
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今調査は全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2022年6月2日に世帯票・健康票・介護票、同年7月14日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が20万3819世帯分、所得票・貯蓄票が1万9140世帯分、介護票が5499世帯分。なお【国民生活基礎調査:解説ページ】に説明が行われているが、今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2022年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票すべての調査が実施されている。
また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。
今調査(1953年開始の「厚生行政基礎調査」など統合前の各種調査含む)において取得されている、1953年以降の日本国内における世帯数そのものの推移、そして世帯の平均人数の動向推移をグラフ化したのが次の図。なおグラフ中に特記はされていないが、上記にある通り2012年分は福島県分が、2020年は全体の値が除かれていることに注意。
↑ 平均世帯人数と世帯数
1950年代には平均世帯人数が5.00人、具体的には夫婦に子供3人だった事実を確認するに、現状と比較して驚く人も多いに違いない(あるいは祖父母と夫婦、加えて子供から成る三世代による世帯構成も十分考えられる)。これが1970年代までにかけて世帯構成人数は急速に減少し、1961年には4人を切る(子供2人の夫婦)形となる(1961年は3.97人)。
1970年代以降は世帯人数の減少傾向はやや落ち着くものの、1980年代後半以降再び減少幅が大きくなり、1992年には3人を切る(2.99人)。直近の2022年では2.25人。「子供のいない夫婦が多い」少子化傾向だけではなく、いわゆる独り身の世帯こと単身世帯が増加しているのも一因(【増える核家族と単身世帯…種類別世帯数の推移(最新)】)。
一方、その単身世帯の増加が後押しする形で、世帯数そのものは漸増傾向にある。平均世帯人員の減少が急になればなるほど、世帯数も増加している。総人口そのものはほぼ横ばいから漸減の状況にあるのが現状だが、同時に世帯の分散化(少人数による世帯構成化)が進んでいるのが見て取れる。
上記グラフにおける、最近の動向が分かりやすいよう、1990年以降に限定して再構築したのが次の図。阪神・淡路大震災のため兵庫県のデータが除かれた1995年、東日本大地震・震災の影響で被災三県のデータが除かれた2011年(、福島県の分が除かれた2012年)、熊本地震の影響で熊本県が除かれた2016年はいくぶんイレギュラーな値を示しているが、それ以外は「平均世帯人員数の減少」「世帯数の増加」といった流れが少しずつ、しかし確実に進んでいるのが確認できる。
↑ 平均世帯人数と世帯数(1990年以降)
社会情勢に大きな変化が無い限り、この傾向は継続されるに違いない。
国土交通省の試算では、単身世帯はさらに今後増加を続け、2050年には全世帯の4割を超えるとの結果が出ている。特に晩婚化に伴う若年層の単身世帯、高齢化による高齢者の単身世帯の増加が著しく、とりわけ後者は孤独死や買物困難者問題をはじめとした各種の社会問題とも密接に影響しうる要素となる。
それらに限らず、世帯構成員数の変化は、社会そのものの構造変化にも大きく影響する。中長期的な視点で考察・推測した上で、各方面の対応が欠かせないのは言うまでも無い。
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