昼食代がトップ。携帯電話代・し好品代・飲み代などが前年比でプラス…サラリーマンのこづかい内部事情
2023/07/31 02:00
サラリーマンが直接、そして自分自身にもっとも大きな影響を与える金銭のやり取りといえば「こづかい」に他ならない。そのこづかいの使い道として一番欠かせないものは「昼食代」であるとの実態が、SBI新生銀行が2023年6月29日に発表した、定点観測的な調査「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版で明らかになった。今回はこの調査結果から、最重要視されている昼食代も含め、サラリーマンのこづかいの消費実態について確認をしていくことにする(【男性会社員のお小遣い額は前年比微増の40557円、女性会社員も増加の35001円 「2023年会社員のお小遣い調査」結果について】)。
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もっとも欠かせないものは「昼食代」で変わりなし
今調査の調査要件などは先行解説記事【前年比1915円増の4万557円…2023年のサラリーマンこづかい事情(最新)】にあるので、そちらで確認のこと。
サラリーマン諸氏におけるこづかいの使い道として、欠かせない項目を複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの回答が得られたのは「昼食代」だった。率にして41.1%。
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(上位陣)
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(上位陣、前年比、ppt)(2023年)
もちろん「欠かせない」を選ばなかった場合、それは「無くてもよい」を意味しない。「優先順位が低くてもかまわない」(1かゼロではなく、金額配分の際の割当が低くなる)と見れば、「こづかいの使い道として昼食代が欠かせない」と”回答しなかった”58.9%の存在も納得できる。持参弁当を利用する人もこの58.9%には多く含まれるのだろう(今件調査におけるこづかいには昼食代を含んでいる)。あるいは文字通り「昼飯を後回しにしても、抜きにするなり減額しても、こづかいを投じたい対象がある」人もいるかもしれない。
「昼食代」以外の項目では「こづかい」の内容にふさわしく、プライベートな項目が上位を占めている。具体的には「携帯電話代」「し好品代」「趣味の費用」が続いている。他方、数年前には上位についていた「家族への気配り」の項目だが、2023年は上位10位にぎりぎり入る状態。
前年からの変化を見ると、「携帯電話代」はともかくとして、「し好品代」「飲み代」「身だしなみの費用」「喫茶代」のような、外出をして他人との付き合いをするのに必要な項目が増えていることが分かる。新型コロナウイルスの流行に伴う規制の緩和などで、巣ごもり現象に変化が出てきているのかもしれない。
年齢で変化する携帯電話と飲み代のウエイト
直近の2023年分につき、「昼食代」「携帯電話代」「飲み代」の比率を年齢階層別に並べたのが次のグラフ。
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(昼食代・携帯電話代・飲み代限定、年齢階層別)(2023年)
「昼食代」は若年層ほど値が低い傾向がある(40代がイレギュラー的に突出しているが)。こづかいを多様な目的にまわして、昼食代への割合が少なくなっているのだろう。むしろ昼食代を減らすことで、他の目的への割合を増やしているのかもしれない。
一方「携帯電話代」は法則性のようなものが見当たらない。携帯電話(特にスマートフォン)の利用実情を考えるに、若年層ほど高い値が出るように思われるのだが、不思議な結果ではある。「飲み代」は年上となるに連れて上昇する傾向にあり、40代がピークとなる。40代となればそこそこの立場・役職となる人も増え、部下を連れて、あるいは接待として飲みに行く機会が増えるのが原因だろう。
「欠かせないモノ」上位の中期的変化
「こづかいの使い道として欠かせないもの」について、過去からの推移を見ていくことにする。今調査で「使い道」を取り上げ始めたのは2005年から。直近となる2023年での上位5項目と、「雑誌・書籍代」を合わせて計6項目で作成したのが次のグラフ。「雑誌・書籍代」の2023年分は値が確認できないのでグラフには反映されていない。
↑ こづかいの使い道として欠かせないもの(上位5位+αのみ)(2005年以降)
「昼食代」以外の複数の項目では2006年から2008年にかけて低迷しているが、2009年には一様に上昇の動きを見せた。しかし2009年から2010年にわたって複数の項目で横ばいから低迷へと流れが変わり、一方で「携帯電話代」は上昇を示していた。
「昼食代」は欠かせないものとして最上位に位置する動きは変わらないものの、「し好品代」「雑誌・書籍代」のような趣味上の費用が「携帯電話代」に食われていた状況が推測できる。
2014年以降は「昼食代」以外は総じて下落の傾向。その「昼食代」も2018年には大きな下落を見せる。そして2018年以降はややぶれがあるものの、横ばいか、いくぶんの上昇傾向の流れ(「携帯電話代」のみ)。重要なものへの絞り込みが一層進んだのか、どれもこれも大切なもので不可欠との認識による区分が難しくなったのかまでは不明だが、「欠かせないもの」の認識そのものが変化しているのかもしれない。また2021年における「趣味の費用」「車関係・ガソリン代」「雑誌・書籍代」の増加は、新型コロナウイルス流行による社会様式の変化の影響によるものと考えられる。
それぞれの順位の移り変わりも併せ、次年以降の動向を注意深く見守りたいところだ。
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