「広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた」49.0%が同意(最新)

2024/07/11 02:41

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2024-07032024年6月4日に博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、メディアのすう勢を推し量る指針となる定点観測データが豊富に盛り込まれた「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2024」では、多様なメディアの動向や、利用者のメディアに対する意識を推し量れるデータが多数確認できる。今回はその中から、インターネット上の広告に関して、人々がどれほど不快感を覚えているかについて確認していく(【「メディア定点調査」とは】)。

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今調査の調査要項や注意事項は先行する記事【メディア接触時間推移】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

次に示すのは「広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた」との設問に同意を示す人の動向を属性別に示したもの。今件における広告とはインターネット上で提供されるものを意味し、紙媒体上のものや、立て看板やデジタルサイネージといったリアルのものを意味しない。なお単純に「多い」ではなく「増えた」なので、以前と比べて増加しているとの認識が多分にあることを意味する。また、具体的にどのような出方や内容かについては説明は無い。

↑ 広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた(属性別)(2024年)
↑ 広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた(属性別)(2024年)

全体ではほぼ半数の人が、期日の区切りなどはないものの、広告の出方や内容に不快感を感じることが増えたとの認識を示している。思いつくだけでも「身に覚えも閲覧サイトにも関係のほとんどない、大人向けの漫画や写真の広告が大きく映し出される」「不可解な、詐欺的内容や不快なビジュアルの広告が表示される」「広告が示す商品・サービスとは異なる虚偽広告的なものが表示される」「ウェブ上の操作用ボタンなどと酷似した広告が表示される」「表示を消すボタンがみえにくい、さらには押しても消えない」「画面全体に表示するのでフリック操作で誤クリックしてしまう」「スクロールアウトしても広告がついてきて画面上をさえぎり続ける」「強制的に音声や効果音が出る広告が展開される」「同じような広告が繰り返し表示される」「該当広告を二度と表示させないように入力しても再び表示される」などが例として挙げられる。

これらの仕様は押しなべて、広告の技術を提供する側(多分に広告配信管理機能の提供側)によるもので、説明に曰く「読者の目にとまる、クリック率などの成果率が上がる」とのポジティブなうたい文句とともに広告主に利用をうながすものだが、一時的に成果が出たとしても、読者の広告ブロッカー利用者が増えるなど、中長期的には広告主にとってもマイナスとなるものが多いのも事実ではある。

広告を出稿した企業などの広告主や広告配信管理機能の提供側としては、とにかく目立てばよい、目にとまってもらえればよい、「成果」が出ればよい以上の認識はないのであろう。そしてネガティブな印象を見た側が持ち、結果として広告の思惑とは逆の効果が出てしまったとしても、よほどのことが無い限りはその「マイナス効果」は数字化されることがなく、広告代理店あたりが「効果が出ないのは量が足りないから、刺激が不足しているから」「効果が出ないのなら別の切り口を」と助言するのがオチではある。

属性別では男性より女性の方が、不快感が増えたと感じる人が多い。また年齢階層別では15-19歳が少なく、20代から30代で増えて過半数となり、40代以降はいくぶん少なくなる。15-19歳で少なめとんるのは「増えた」との文言から、過去における広告の実情をさほど知らないからかもしれない。むしろ、高齢層でいくぶん値が減っているのは意外かもしれない。

この動向を経年推移で見たのが次のグラフ。

↑ 広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた
↑ 広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた

増加度合いは一定ではないが、少なくとも2018年以降はずっと「不快感を感じることが増えた」とする人が増えている。それだけ、不快で不適切な出方や内容をする広告が増えているということなのだろう。ただしこれが、該当する広告の数が増えているのか、掲載される場所が増えているのか、それとも不快度合いがアップしているのかまでは、今調査の限りでは分からない。おそらくはそのすべてがあてはまるのだろうが。

そもそも広告は、読者にとって有意義な情報の一つとして提供されるべきものであり、ペナルティや苦役の類として用意されているものではないはず。一時的な「効果」が出るからとの理由で、提供側の思惑を押し付けるような仕草をしては、読者がどのような態度をとってしまうのかは、容易に想像ができるはずなのだが。


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