ニュースを信頼できるか、ジャーナリズムを支える土台か。人々の考えは(最新)

2024/07/10 02:33

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2024-07032024年6月4日に博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、メディアのすう勢を推し量る指針となる定点観測データが豊富に盛り込まれた「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2024」では、多様なメディアの動向や、利用者のメディアに対する意識を推し量れるデータが多数確認できる。今回はその中から、報道業界の姿勢に対する人々の思いについて、その実情を推し量れそうな設問を見ていくことにする(【「メディア定点調査」とは】)。

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今調査の調査要項や注意事項は先行する記事【メディア接触時間推移】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

次に示すのは報道への考え方に関する2つの設問「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」について、同意できる人の動向を属性別に記したもの。例えば「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」の全体は14.8%なので、全体の14.8%は「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」と思っていることになる。

↑ 報道への考え方(属性別)(2024年)
↑ 報道への考え方(属性別)(2024年)

今設問における「プロ」とは、例えば大手新聞社に所属している記者のような、報道業界におけるプロの記者を意味し、特定分野の第一人者が記者として記事を書いているといった状況は想定されていない。その点で、プロの記者が書いたニュースだから信頼できると言及できる人が14.8%しかいないのは、現状を如実に表す結果に違いない。無論、報道業界自身にとっては衝撃的な値には違いだろうが。

「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」は32.6%。「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」の14.8%と比べれば高い値だが、それでも3割強でしかない。報道業界の姿勢、報道のプロによる挙動や発言が問題視されるたびに、自身の矜持として「我々の報道はジャーナリズムを支える土台であるから、必要不可欠なものに違いない」との主張を見聞きするが、一般の人の目からは肯定的には見られていないことになる。

属性別に見ると、「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」は男女間の差異はさほどなく、年齢階層別では15-19歳と50代でやや高めの値が出ており、特に15-19歳では唯一の2割超え。未成年者は経験がまだ浅く、他の情報との比較が十分にできるほどの能力を持ち合わせていない人が多いのかもしれない。

「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」では、男女間の差異はほとんどなく、年齢階層別では15-19歳と中年層以上で高め。特に60代では44.3%と唯一4割を超えている。一般的に高齢層は新聞やテレビのような従来型のメディアへの信頼が厚い傾向があるが、それが今設問への肯定意見の多さを導いているのかもしれない。とはいえ、最大値を示した60代ですら5割に届いていない。

この動向を経年推移で見たのが次のグラフ。「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」は2017年からのものとなっている。

↑ 報道への考え方
↑ 報道への考え方

実のところ記録のある限りでは、「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」も「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」も、大きな変化はない。つまり昔も今も、報道に対する人々のとらえ方に大きな違いは生じていないことになる。もっとも直近の2024年では双方とも前年比で大きな減少を示しており、特に「新聞やテレビの報道は、ジャーナリズムを支える土台だと思う」は経年推移における平均的な値を下回り、底が抜けたような形を示してしまっているのが気になるところではある。


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