多すぎたり、速すぎたり…世の中の情報に対する思いの実情(最新)
2024/07/09 02:26
2024年6月4日に博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、メディアのすう勢を推し量る指針となる定点観測データが豊富に盛り込まれた「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2024」では、多様なメディアの動向や、利用者のメディアに対する意識を推し量れるデータが多数確認できる。今回はその中から、情報に関して人々がどのような認識を持っているのか、「多すぎるか否か」「速すぎるのか否か」の2点の観点から見ていくことにする(【「メディア定点調査」とは】)。
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今調査の調査要項や注意事項は先行する記事【メディア接触時間推移】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。
次に示すのは情報に関する2つの設問「世の中の情報量は多すぎる」「世の中の情報のスピードは速すぎる」について、同意できる人の動向を属性別に記したもの。例えば「世の中の情報量は多すぎる」の全体は58.5%なので、全体の58.5%は「世の中の情報量は多すぎる」と(おそらくは否定的な意味で)思っていることになる。
↑ 世の中の情報に関する印象(属性別)(2024年)
全体では6割近くの人が「世の中の情報量は多すぎる」と認識している。多すぎて処理しきれず困ってるのか、判断に迷ってしまうのか、受けとめきれなくて大切な情報を取りこぼしてしまっていないか心配になるのか、影響はケースバイケース・人それぞれだろうが、肯定的な意味でないことだけは確かだ。一方で「世の中の情報のスピードは速すぎる」は46.6%と半数近く。速すぎて取得や把握、理解、取捨選択などをする余裕がないこともあるだろう。
属性別で見ると、男女別では男性よりも女性の方が、多さや速さを感じている人は多い。特に「世の中の情報量は多すぎる」の声は、女性では63.2%に達している。年齢階層別では、若年層で高い値が出る傾向があり、「世の中の情報量は多すぎる」は30代、「世の中の情報のスピードは速すぎる」は20代がピークとなっている。逆に高齢層ほど値が低くなっており、意外さを覚える人もいるかもしれない。
これを経年推移で見たのが次のグラフ。
↑ 世の中の情報に関する印象
多少のぶれはあるが、多すぎる・速すぎる双方とも値は増える傾向にある。原因について元資料では言及がないものの、おそらくはインターネットやスマートフォンの普及などにより、情報の取り扱いが楽になり、より多くの情報がやり取りできるようになった一方で、それを処理する人間そのものの適応が進んでいないのが一因にあるのだろう。2020年から2021年にかけて減少する動きがあるのは、新型コロナウイルスの流行で対象となる情報が求められたことや、在宅時間が増えてゆっくりと精査する余裕が生まれたのが原因かもしれない。
現状では6割近くの人が「世の中の情報量は多すぎる」と考え、5割近くの人が「世の中の情報のスピードは速すぎる」と考えている。人の情報処理能力に大きな変化がなければ、貯めおける情報量には限度があるから、必然的にところてん式に次から次へと吐きださねば、新しい情報を得られなくなる。一部で言わている、流行のはやりすたりの間隔が短くなったのも、この「世の中の情報量は多すぎる」「世の中の情報のスピードは速すぎる」と認識する人が増えている、昨今の情報の多さ・速さが原因の一つなのかもしれない。
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