「新聞を読む時間」として思い浮かぶものは・紙の新聞は32.5%どまり(最新)
2024/07/09 02:25
2024年6月4日に博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、メディアのすう勢を推し量る指針となる定点観測データが豊富に盛り込まれた「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2024」では、多様なメディアの動向や、利用者のメディアに対する意識を推し量れるデータが多数確認できる。今回はその中から、「新聞を読む」という行為に対して人々はどのような認識をしているのかについて、見ていくことにする。新聞が現在どのように思われているのかを知ることができよう(【「メディア定点調査」とは】)。
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今調査の調査要項や注意事項は先行する記事【メディア接触時間推移】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。
次に示すのは「新聞を読む時間」として思い浮かぶものについて、複数回答で尋ねた結果。例えば32.5%は「新聞を読む時間と聞かれたら、紙の新聞を読むことを思い浮かぶ」と答えていることになる。
↑ 新聞を読む時間として思い浮かんだものは(複数回答)(2024年)
もっとも多くの人が思い浮かんだのは「紙の新聞」で32.5%。次いで「新聞社のサイトやアプリ」12.4%、さらに「新聞社以外のサイトやアプリ」8.5%、そして「SNS上の新聞記事」が6.2%。SNS上に掲載された新聞記事を読むことを、「新聞を読む」と認識している人が案外多いことに驚く人もいるかもしれない。
そして「新聞は読まない」とする人は54.7%。紙の新聞だけでなく、すべての手段で新聞を読むことはない(と自覚している)人が過半数におよんでいる。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
↑ 新聞を読む時間として思い浮かんだものは(複数回答、属性別)(2024年)
「紙の新聞」は女性より男性の方が高く、年齢階層別ではおおよそ高年齢ほど高くなる。15-19歳で20代より高めの値が出ているのは、学校で新聞を教材として用いるケースがあるからだろう。また、学校図書館で目にとまる機会が多いからかもしれない。
「新聞社のサイトやアプリ」は年齢階層別で比較的安定した値を占めているが、「新聞社以外のサイトやアプリ」はずいぶんとばらつきがある。20代で2.9%、40代で3.8%しかいないのは意外かもしれない。また60代でも「新聞社のサイトやアプリ」などインターネット経由で新聞記事を読む人がそれなりにいることも分かる。
他方、「新聞は読まない」だが、20代でもっとも多く67.5%と2/3超え。15-19歳や40代でも6割を超えている。60代でも37.0%と4割近くの人が、紙媒体だけでなくインターネット上のものも含めて、新聞は読んでいないと答えている。
最後に経年推移。一部の項目について、データが確認できる2020年以降に関して。
↑ 新聞を読む時間として思い浮かんだものは(複数回答、一部)
5年分の値しかないため傾向の類は見出しにくい面もあるが、「新聞社のサイトやアプリ」はほとんど変化なしなのに対し、「紙の新聞」は漸減、「新聞は読まない」は漸増の動きを示している。グラフからは省いているが、「新聞社以外のサイトやアプリ」や「SNS上の新聞記事」も、「新聞社のサイトやアプリ」とほぼ同じ動きをしており、紙媒体の新聞を読まなくなった人がインターネット上の媒体にシフトするのではなく、そのまま新聞を読むこと自体を止めてしまう流れとなっていることが推測できる。
新聞社側としては紙媒体での読者減少分をインターネット上で補う算段ではあるのだろうが、現実は厳しそうだ。
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