「毎朝しっかりと朝食を食べている」中学生は8割近く…若年層の朝食欠食状況

2022/11/28 03:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
内閣府は2022年6月14日付で2022年版となる「子供・若者白書」を発表した。今回はその白書に掲載されているデータなどを用い、若年層を中心とした朝食の欠食状況を探ることにする。成長期においては特に欠かせないとされる朝食は、いかなる摂取状況を示しているのだろうか(【子供・若者白書について】)。

スポンサードリンク


白書の説明にもある通り、また昨今の「食育」の言葉に代表されるように、心身が大いに育まれ、人格形成の多分を成す成長期においては、健全な食生活の環境下におかれることが、豊かな人間性を構築する大きな要因として重要視される。しかし現実問題として、朝食を欠いている若年層が少なからずいるのも事実。

無論理由としては「寝起きが悪い」「朝食時は食欲がわかない」などの個人の特性によるところもある(無理をして食べることは逆に生活の質の上でマイナスとなる)。一方で子供当人や朝食の用意をする保護者の時間上の都合、さらには手間を嫌がることの結果として、子供本人は朝食を欲しているのに、摂取できない事例もあるだろう。昨今ではたとえば大学側で、生徒の健康サポートを兼ねて安価、あるいは無料で朝食を提供するサービスが展開され、生徒自身だけでなく保護者からも好評を博している事例もある(【湘南工科大で学生対象の「ゼロ円朝食」が展開開始】【阪大とケロッグが手を結んで無料朝食を提供し始めるようです】)。

白書では以前、文部科学省の【全国学力・学習状況調査】を基に、小中学生に対する朝食摂取状況に関するデータを掲載していた。そこで大本の「全国学力・学習状況調査」をたどり、最新の値を反映させたのが次のグラフ。2022年度時点では毎朝しっかりと朝食を摂る人は、小学生では84.8%・中学生では79.9%にとまっていた。なお2011年度は震災のため、2020年度は新型コロナウイルスの影響で調査が中止され、結果は存在しない。

↑ 朝食欠食状況(小学生)
↑ 朝食欠食状況(小学生)

↑ 朝食欠食状況(中学生)
↑ 朝食欠食状況(中学生)

↑ 朝食欠食状況(小学生・中学生、あまり食べていない+まったく食べていない)
↑ 朝食欠食状況(小学生・中学生、あまり食べていない+まったく食べていない)

現状としては数%の小中学生が朝食を「まったく食べていない」「あまり食べていない」とし、10%内外は「食べてはいるが毎日ではない」状態。経年で比較するとほんのわずかずつではあるが小中学生ともに常時食べている人が減り、どちらかといえば食べている人やあまり食べていない人が増えている。

気分的な問題や生活リズムの特性、時間不足、あるいは個人のポリシーによるものなど、理由はさまざまだと推測されるが(【時間が無い・習慣が無い 朝食を取らない理由】)、本人が食事を望んでなお欠食せざるを得ないケースにおいては、状況の改善を願いたいところ。

また男女別に見ると、幼い時は女性の方が高い値を示すが、年齢が上になるに連れて男性の方が欠食率は高くなる。こちらは厚生労働省の「国民健康・栄養調査」を基にしており、2019年の値が直近のものとなる(2020年・2021年は新型コロナウイルスの影響で調査が中止されている)。なお「国民健康・栄養調査」における欠食とは「食事をしなかった場合(何も食べない)」以外に「錠剤などによる栄養素の補給、栄養ドリンクのみの場合(錠剤などのみ)」「菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみを食べた場合(菓子・果物などのみ)」も該当する。

↑ 朝食の欠食率(欠食状況別、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 朝食の欠食率(欠食状況別、男女別・年齢階層別)(2019年)

↑ 朝食の欠食率(男女別・年齢階層別)
↑ 朝食の欠食率(男女別・年齢階層別)

おおよそ3%前後が「菓子・果物などのみ」の欠食で、残りは本来の意味での欠食にあたる「何も食べない」。男性は年が上になるに連れて「何も食べない」が増え、女性は逆に減っていく。現状としては男性の15-19歳では19.3%が欠食との結果が出ている(ただし男性15-19歳は全体で130人のみのため、統計上のぶれが生じている可能性はある)。経年推移ではやや値の揺れが大きいが、傾向的な動きは無く、男女とも15-19歳は12%前後と高め、1-6歳と7-14歳は6%前後と低めの値で推移している。ここ数年、女性15-19歳の欠食の値が減少しているように見えるのが主な傾向だった動きか。

「国民健康・栄養調査」における「朝食抜き」の定義を見返す限り、シンプルな朝食スタイルとして栄養補充系の菓子や果物のみのパターンを確立し、自分自身では朝食を抜いている意識はまったくなくとも、朝食を欠食しているとカウントされている可能性は高い。朝食時間帯はまだ食欲が生じず、あっさりとしたもので済ませてしまう人もいることを考えれば、朝食用の食材が多様化する昨今、見方次第ではもう少し朝食欠食率の値は落ちるのではないかと考えられる。例えば2019年の男性15-19歳にしても「菓子・果物などのみ」を欠食ではないと判断すると、純粋に朝食を欠食しているのは10.8%となる。

ともあれ、健康維持・増進のための食習慣としてはもちろん、家族とのコミュニケーションの場面としても食事は重要。とりわけ成長過程にある学生においては、当人が望むのであれば、そして身体上必要であると判断されるのならば、さらなる朝食の充足が求められよう。


■関連記事:
【朝食に求められるものは「手軽に」「手早く」「簡単に」】
【朝食欠食、男性14.3%・女性10.2%(最新)】
【自宅以外の朝食、どこでとる? 一人暮らしは4割近くが「学校や職場を利用」】

スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS