「子供の結婚資金への援助」約5割、けれども定期的な資金援助は9割がナシ
2010/07/02 05:00
国立社会保障・人口問題研究所は2010年5月31日、第4回全国家庭調査動向調査の結果を発表した。家庭機能の変化・動向などを推し量れるデータが豊富に掲載されており、興味深い内容である。今回はその結果内容から「世帯を持ち別居している自分の子供達に対する援助・支援」について抽出し、グラフ化をしてみることにする(【該当リリースページ】)。
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今調査は家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭の出産、子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としており、今回は2008年7月1日に調査票を配布、回収した結果を集計したもの。有効回答票数は1万0192票で、今件はそのうち有配偶の妻(つまり夫がいる妻)が回答した6870票を分析対象としている。妻の年齢区分は29歳以下4.8%・30代19.9%・40代20.4%・50代23.3%・60代19.9%・70歳以上11.6%。
今件は回答対象となる妻が子供を持ち、その子供が20歳以上に達して世帯を持ち、かつ別居している(同じ建物に住んでいない)条件に合致するデータのみを抽出している。該当事例は今回調査結果(2008年7月分)は2725件、前回調査(2003年7月分)は2714件。
子供の性別に、別居している子供世帯への支援の状況を答えてもらった結果が次のグラフ。結婚資金は約5割、孫の世話は男の子供世帯へは四分の一、女の子供世帯には4割強が手助けをしている。
↑ 子の性別に見た、別居中の子供夫妻に対して支援した割合
住宅資金で男性の子供世帯への支援率が高いのは、家長たる夫からの願いということや、「自分が妻の母親の立場から援助をしなくても、夫の親世帯が援助してくれるに違いない」という思いがあるものと想定できる。逆に出産時の世話や孫の世話が女の子供世帯に対して多いのは、子供の世帯の妻からの切実な要請によるものと考えてよい。「住宅資金は夫つながり」「出産やその後の世話は妻つながり」というわけだ(ただし孫関係の費用については、夫・妻などに関係なくそれなりの比率。夫側の親サイドとしても「カワイイ孫のことでもあるし、せめて費用くらいは」というところか)。
これらの援助の比率を前回調査と比べてみると、全項目で上昇しているのが確認できる。
↑ 子の性別に見た、別居中の子供夫妻に対して支援した割合(前回調査との比較)
突発的な出費や手間の増加など、ハプニングに対する子供のお願いに対する親の財布のひもは緩まりつつある、ということだろうか。あるいはもっと切実に、子供の方から「援助してもらえないか」という懇願の比率が高まっている可能性もある。
一方、上記のようなイレギュラー的な出来事でのサポートではなく、定期的・日常的な親側の支出、昨今の流行り言葉でいえば「大人・子供手当」については、調査母体の妻の考えは否定的である。
↑ 子の性別に見た、別居中の子供夫妻への定期的な支出金額(月額)
男女を問わず、前回の調査結果とほぼ変わりなく、否定派が9割。支援している妻も3万円未満がほとんどで、5万円以上(毎月)は直近結果では1%程度でしかない。イレギュラー的なイベントで発生した出費は仕方ないが、日常的に「別居し結婚しているにも関わらず」親のスネをかじるとは何事か、という本心が見て取れよう。
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