専業主婦とパート主婦、家事時間の違いはどれくらいか。妻の家事時間

2019/10/04 05:00

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炊事、洗濯、掃除など、居住空間としての住宅そのもの、さらにそこに住む世帯の生活を継続するのに必要な、さまざまな作業を総じて「家事」と呼ぶ。一人暮らしでは当人が行うのが原則だが、夫婦世帯では「夫が就業、妻が家事」との役割分担が基本となっている。もっとも最近では共働きの事例も多く、妻に家事と就業の双方の負担が背負わされるため、夫への家事参加も求められる声が大きくなりつつある。今回は国立社会保障・人口問題研究所が5年おきの定点観測調査の最新版として2018年に調査を実施し、2019年9月13日に発表した全国家庭動向調査の第6回分の結果を基に、妻の家事に携わる時間の動向を確認していくことにする(【発表リリース:全国家庭動向調査】)。



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常勤妻でも約3割は「平日1日4時間以上家事しています」


今調査の調査要項は先行記事の【夫婦別姓賛成派、夫がいる妻では賛成派過半数(最新)】を参考のこと。

まずは妻が専業主婦か、それとも何らかの形で仕事をしているか否かで、家事時間(今件には育児は含まれていない)にどれほどの違いがでるかについて。【専業主婦の9割が「また働きたい」・最大の理由は「家計を助けたいから」】にもあるように、家計をサポートするために働きたいとする需要が主婦には多分にある。しかし1日は24時間しかないがため、働く時間が多くなればなるほど、家事の時間が減ってしまうのはものの道理ではある。

↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)

↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事平均時間(平日、平均、分)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事平均時間(平日、平均、分)

専業主婦と常勤主婦との間には約2倍もの家事時間の違いがある。なお今値は「平日」の家事時間を示したものだが、「休日」における従業上の地位別家事時間の公開値は無い。ただ、妻の年齢階層別のデータ(こちらは「平日」「休日」双方が用意されている)を確認すると(グラフ化は略)、20代・30代では平休日の差は数分程度だが、パートに勤めることが多い40代・50代となると数十分単位で休日の方が長い、つまり平日よりも休日の方が家事時間が大きく増加する傾向が確認できる。就業女性は休日で、平日では手掛けられなかった家事を補完している状況が見て取れる。

一方、常勤で働く妻でも、32.3%は「平日に」4時間以上家事をこなしていることになる。朝出かける前に朝食の支度などに1時間かかるとしても、帰宅後に3時間以上。帰宅が午後6時だと仮定すると、家事だけで最低でも午後9時までかかることになる。自宅での時間はほぼ家事で費やされる計算、となる。ましてや「8時間以上」の人など睡眠時間がいかほどか、想像するに心配が募るばかりである。もっとも「常勤」の内容も多様で、例えば半日作業が常という場合も考えられるが。また、質問票の限りでは家事に限らず行動にかかる時間はその行為のみの従事した場合だけではなく、いわゆるながら行動も加味しているので、他の行動も兼ねながら家事をしている可能性も多分にある。

夫の帰宅が遅いと家事の時間も長くなる


それでは夫の帰宅時間と妻の家事時間にはどのような関係があるのだろうか。夫が深夜に帰宅するならともかく、「夫の帰宅前に妻がさっさと家事を終わらせて就寝してしまう」との生活パターンは考えにくい。実際、夫の帰宅時間が遅いほど、妻の家事時間が長くなる傾向が確認できる。

↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)
↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)

↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の家事時間(平日、平均、分)(2018年)
↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の家事時間(平日、平均、分)(2018年)

全般的に夫が帰宅する時間が遅いほど、妻の家事時間は長くなる。17時から19時台帰宅と、22時から23時台帰宅の間では、平日の家事時間は26分もの差が生じる。夫の帰宅が遅くなる=その間は家事に従事する場面が増える、夫の家事分担場面が減るとの構図を考えれば、この長時間ぶりも理解はできる。あくまで概算論でしかないが、妻の家事上の負担を減らす要件の一つとして、「夫が帰宅時間を早めにする(事で夫にも家事分担の機会を増やす)」のもあるわけだ。特に22時から23時台においては該当する人のうち13.1%が1日8時間以上の家事に従事しており、その苦労ぶりがうかがえる。

現実問題としては夫が従事している仕事の事情、会社内の付き合いもあり、夫の帰宅時間は思う通りにならない場合が多い。しかし帰宅時間が早ければ早いほど、妻の負担も減り得るという事実が知識として頭にあれば、足取りも早くなるのではないだろうか。


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