「全面的」は23.0%…老後の生活では公的年金をどれほどあてにしているのか

2019/02/04 05:00

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心身的に老化を来たし若い頃と同じような就業は不可能になる老後の生活においては、場合によっては低賃金の軽労働で補てんをしながら、基本的にはこれまでの蓄財や公的年金で生活費をまかなうことになる。そのような老後の生活において、公的年金はどれほどあてにされているのだろうか。内閣府が2019年1月18日に発表した老後の生活設計と公的年金に関する世論調査の結果から確認していく(【発表リリース:老後の生活設計と公的年金に関する世論調査】)。



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今調査の調査要綱は先行記事の【何歳までお金をもらえる仕事をしたいか、平均年齢は62.9歳(最新)】を参照のこと。

先行記事にある通り、今調査対象母集団では67.8%の人が老後の生活設計を考えたことがあるとしている。

↑ 老後の生活設計を考えたことがある人(2018年)(再録)
↑ 老後の生活設計を考えたことがある人(2018年)(再録)

それではその老後の生活設計を考えたことがある人において、公的年金はどのような位置づけなのだろうか。いくつか選択肢を挙げ、回答者自身の考えにもっとも近いものを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別)(2018年)
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別)(2018年)

もっとも多い考え方は「公的年金を中心とし、個人年金や貯蓄などを組み合わせる」で55.1%、次いで「全面的に公的年金に頼る」が23.0%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が15.5%。個々のお財布事情や人生設計などにより内情はさまざまだが、全体では2割強の人が公的年金には頼るだけの実情が備わっていないとの認識と見てよいだろう。

男女別では女性の方が公的年金への信頼度が高いように見える。「全面的」「中心」を合わせると、公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性で75.9%だが女性では79.9%となっている。

さらに年齢階層別に区切り直したのが次のグラフ。

↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別・年齢階層別)(2018年)
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別・年齢階層別)(2018年)

全体としては女性の方が公的年金への信頼度が高いのだが、年齢階層別に見ると18-29歳ではむしろ男性の方が高い結果が出ている。公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性ではほぼ7割だが女性では6割強。もっともそれも大勢には影響をしておらず、おおよそ若年層ほど公的年金への信頼度が低く、年が上になるに連れて高くなっていくのが分かる。

ただし「年が上になるほど公的年金への依存度が高い」傾向は、公的年金への信頼が高いからなのか、額としては満足のいかないものでも頼らざるを得ない実情を示しているのか、あるいは甘い見積もりで判断している(していた)のか、その内情までは分からない。ともあれ70歳以上の4割台は、老後の生活設計において「全面的に公的年金に頼る」と考えていたことに違いは無い。

オマケ的に職業別。

↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、職業別)(2018年)
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、職業別)(2018年)

農林漁業職と生産・輸送・建設・労務職では「全面的に公的年金に頼る」割合が高めに出ている一方で、「公的年金には頼らない」との意見も高い。二極化しているのは、自分の現状を冷静に見定めているからなのか、見積もりが甘いからなのか、色々な可能性が考えられよう。


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