2022年は2.3%…「ニート」の人口比率
2023/03/13 02:00
内閣府で毎年発表している「子供・若者白書(旧青少年白書)」では、「ニート」に相当する属性として「若年無業者」を定義し、その推移と現状の分析を行っている。その「若年無業者」の算出に用いられる各値のベースとなる、総務省統計局による労働力調査(詳細集計)の年ベースでの最新値が2023年2月14日に発表された。今回はその値を用い、「若年無業者」の数そのものでは無く、該当しうる年齢階層の人口の何%を占めているか、人口比率の推移を見ていくことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。
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先行展開記事の【「ニート」数推移】にある通り、子供・若者白書では「ニート」をほぼ同定義の「若年無業者」と表現しているが、その数はほぼ横ばいから漸減への動き。雇用市場も含めた景況感の改善や、若年層人数全体の減少、社会認識の変化などが要因として考えられる。また2020年では新型コロナウイルス流行の影響でパート・アルバイトで働く若年層が解雇されたことで若年層を中心に大きな増加を示したが、その分反動の形で2021年以降は15-19歳を中心に大きな減少が生じている。
↑ 若年無業者(≒ニート)数(万人)(再録)
これらはあくまでも絶対数による人数の推移。多数の他資料からもある通り、日本の若年層人口は漸減傾向にあるので、「若年層全体に占めるニートの割合」は増加しているのか減少しているのか、この動向だけでは判断は難しい。そこで具体的にその状況を逐次算出し、折れ線グラフで推移を示したのが次の図。
↑ 15-39歳人口に占める若年無業者の割合
データの収録開始年である1995年当時は該当世代の1.3%でしかなかった「ニート」だが、その後上下を繰り返しながら中期的には比率は漸次上昇。2004年には2.0%に達し、2012年にはそれまでの最大となる2.3%。その後、やや値を落としたが2016年では再び上昇し2.3%(2012年と同じ)の値を示した。2020年では大きな増加を示し過去最大の2.7%に。しかしその翌年の2021年では大きく値を落とし2.3%にとどまっている。直近の2022年も同じく2.3%(厳密には2021年は2.320%、2022年は2.327%で、2022年はわずかながら前年比で増加している)。
概算だが2022年では15歳から39歳が43人集まると、そのうち1人がニートとなる。
このグラフ・値の動向の特徴としては、景気動向に大きく左右される事なく、上昇していた点が挙げられる。2001年から2002年にかけての0.5%ポイントもの上昇は、先行記事で言及した「若年無業者の急増」が、同年齢階層の全体人数の急増による比例的な増加によるものではなく、何らかの要因によって割合が増加した結果であることを表している。
この急上昇に関しては先行記事の通り「学校完全週5日制」をトリガーとする論説もあるが、そのほかに当時の不況を反映しているとの解釈もできる。しかしながらその後の景気回復にもかかわらず割合は減少していないことから、景気とは大きな関係は無いと推測される。不景気のみ連動し、好景気とは無関係の可能性もあるが、ならば2007年夏以降の金融不況の際にも、同様の大幅な上昇が起きねばならない。しかしながらそのような動きは見られない。
一方で2020年の急激な上昇は、前述した通り新型コロナウイルス流行によるパート・アルバイトで働く若年層の解雇が要因だと考えられる。2021年では大きく戻したものの、2019年と同値にとどまっている。
就業構造や社会情勢に大きな変化がない限り、この比率は引き続き中期的には上昇を続けていくものと考えられる。今後もニート数の絶対数とともに、該当年齢階層の人口比についても注視する必要があることには違いない。
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