日本は11.5%、それでは他国は?…主要国の子供比率を比較してみる(世界編)(2023年版)
2023/05/05 10:00
総務省統計局では毎年5月5日の「こどもの日」にちなんで、国内外の子供の人数などをデータの点から確認していく特集記事を公開している。今年も5月4日付で【発表リリース:我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで-(2023年5月4日)】を発表しており、それを基に日本国内の子供数に関する状況を、先行する記事【42年連続の減少で子供の数は1435万人…「こどもの日」にちなんだデータ(国内編)(2023年版)】で確認した。今回はその資料に添付されていた参考データを用い、諸外国の子供比率についてチェックしていくことにする。
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今回確認するのは「各国における子供(0-14歳)の割合」。各国とはいえ世界のすべての国を網羅するのではなく、国連人口統計(2022年版)を基に、人口4000万人以上の国に限定している。ちなみに先行する記事の通り、日本では次のような経年変化が生じている。
↑ 年齢3区分別人口(全体比率、国勢調査・人口推計ベース)(再録)
このうち子供の部分のみを抽出し、上記条件に合致する国々の値を並べたのが次のグラフ。完全な同一タイミングで調査した結果ではなく、諸国の公知データにおける最新値を抽出したために厳密な比較はできないが、日本の子供比率の低さを改めて実感できる。
↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2022年版より、人口4000万人以上の国)
日本の子供比率の低さには多様な理由があるが、【日本は1.33、米国は1.64、韓国は0.84…各国の合計特殊出生率推移(最新)】などで解説している通り、医療体制・技術の充実や、社会保険環境の整備安定化による平均寿命の伸び、【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移(最新)】で説明しているように結婚関連における社会習慣の変化、社会環境の整備や生活の安定化に伴う子供生育のコスト急騰、そして乳幼児の死亡率低下などを理由とする、「先進国病」ともいえる出生率の低下が大きな要因。
若年層数・率の低下はその年齢階層の社会的・政治的発言力の低下をもたらし、国の施策が彼らを軽視する傾向につながる。その施策傾向により、ますます出生率が低下する悪循環が生じ、中長期的な観点では、国全体の人数、経済、活力の縮小を導き得ることになる。端的な表現では国そのものの老化でもある。国のリソースの若年層への配分が軽視され、拡大再生産ではなく縮小再生産状態となり、いわば「種もみを食べる」状態になりかねない。
子供比率が高い国では、平均寿命が短く、結果論として子供比率が高くなってしまう国も多い。一概に子供比率が高ければよいわけではない。しかしながら社会保障制度は子供の層がシニア層を支えるのが原則であることを考えると、日本の値は余りにも低く、バランスに難がある。人口に関する政策においては、中長期視野からの戦略的な手立てが求められるに違いない。
なお今件データは毎年更新される元値をベースに算出されていることから、その経年変化を知ることができる。今回は前年、つまり国連人口統計年鑑の2020年版の値との比較を算出しておく。ただし前年と同じタイミングの値しかなかった国も確認されるため、その国は空白にしている。単純に増減のあった国のみ、その動向を確認するのが無難。
↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2020年版から2022年版への変移、人口4000万人以上の国、ppt)
ナイジェリア、スーダン、エチオピアなどで増加、つまり子供の比率の増加が確認できる。他方、日本のマイナス0.2%ポイントは以前の記事などでもお伝えした通りだが、それ以上に複数の国で大きな下げ率が生じている、つまり子供比率の縮小が起きているのが分かる。
子供比率で日本に続く低い値を示しているのは韓国、そしてイタリア、スペイン、ドイツ。それぞれの国の少子化対策が気になるところではある。
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