子供のインターネット利用に保護者はどのような取り組みをしているのだろうか
2023/08/06 02:00
インターネットは多様な使い道ができる便利なツールだが、同時に多分な危険性もはらんでいる。正しい使い方をしないと痛い目に会うのはどのような道具でも同じことだが、インターネットでは利用することに免許の類は必要なく、利用ハードルも低いため、リスクに触れる可能性も高いものとなる。保護者は自分の子供に対し、リスク回避のためにどのような取り組みをしているのだろうか。9歳以下の子供達の実情を、内閣府が2023年3月31日に発表した、低年齢層のインターネットに関する利用実情を調査した結果報告書から確認していくことにする(【令和4年度版青少年のインターネット利用環境実態調査】)。
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今調査の調査要綱は先行記事【テレビ5割近く、スマホは2割台、自宅用パソコンやタブレット型端末は4割近く…9歳以下のインターネット利用機器の利用状況(最新)】を参照のこと。
次に示すのは子供が何らかの端末でインターネットを利用している保護者において、どのような安全対策をしているかを尋ねた結果。複数回答形式のため、2つ以上を同時に実施している場合もある。
↑ 子供が安全に安心してインターネットが利用できるようにどのような取り組みをしているか(子供の年齢が9歳以下、複数回答、子供がインターネットを使っている人限定)(2022年)
↑ 子供が安全に安心してインターネットが利用できるようにどのような取り組みをしているか(子供の年齢が9歳以下、複数回答、子供がインターネットを使っている人限定、利用機種別)(2022年)
全体として一番多くの人が実施しているのは「利用する時間・場所などのルール設定」で72.3%。取り決めをせずに自由に使わせていると、自制心に欠けている子供は寝食を忘れてインターネットに没頭しかねない。これは大人でもありうる話で、自制心が未熟な子供の場合は危険性も高くなる。ルールを定めるのは、同時にそのルールを破ったら何らかのペナルティが発生するのを意味するので、強い抑止力にもなる。
次いで多いのは「大人の目の届く範囲で使わせる」で全体では69.4%。要は子供一人だけでインターネットを使わせることがないようにしているというもの。普段から注意をしておき、何かリスクが生じる可能性のある行動をしそうになったら、その時点で教え諭すのだろう。自動車教習における実地試験のようなものと考えればイメージはしやすい。
あるいは保護者が監視していること自身がプレッシャーとなり、問題行動をしづらくなる効果も期待できる。ただし実質的にはずっとべったりくっついているままは難しいので、保護者と同じ部屋で操作させる(いつでもチェックができる状況下におく)などがありがちなパターンだろうか。
「普段の会話などの中で子供のネット利用状況を把握する」は全体では58.7%。常日頃から利用中のようすを監視することは難しくとも、何をしたのかを報告させたり、何気なく会話の中から聞き出したりすることで、危ないことをしていないかを確認する次第。子供自身が悪いと自覚した行為をした上で黙っていなければならないと考えていても、ついつい語ってしまうこともあるはずだ。さらには悪いこととは知らずにやっていたことも分かるだろう。
機種別の動向を見ると、機種の特性によってしやすい取り組みは値が高めに、しにくいものは低めになっている。例えばテレビは「大人の目の届く範囲で使わせる」が高いものとなっているが「フィルタリング」は低め。また「フィルタリング」はゲーム機で高い値が出ている。専用の、導入しやすいフィルタ機能が実装されているからだろうか。
子供の立場から考えれば、保護者の監視下やさまざまな制限の上での利用は、少なからぬ窮屈さを覚えるかもしれない。その利用の中で、インターネットに関する常識や危険の察知の仕方、回避方法を学んでくれればよいのだが。
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