93.4%が動画視聴…子供達はネットで何をしているのだろうか、その中身
2023/08/02 02:00
インターネットは多様な価値観の世界へ瞬時に足を踏み込める、魔法のじゅうたんのような存在。色々なサービスが提供され、おおよその情報作業を果たすことができる。子供達はその魔法のようなツールで、いったい何をしているのだろうか。その実情を内閣府が2023年3月31日に発表した【令和4年度版青少年のインターネット利用環境実態調査】の結果から確認していく。
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動画視聴が圧倒的、次いでゲーム
今調査の調査要綱は先行記事【テレビ5割近く、スマホは2割台、自宅用パソコンやタブレット型端末は4割近く…9歳以下のインターネット利用機器の利用状況(最新)】を参照のこと。
次に示すのは何らかの機種でインターネットを利用している人に対し、そのインターネットで何をしているかを複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人がしているのは動画視聴で93.4%に達している。なおグラフの横軸の項目は元資料の並びのままにしている。
↑ インターネットで何をしているか(9歳以下、インターネット利用者限定、複数回答)(2022年)
具体的にどのような動画なのか、視聴頻度や時間はどれほどなのかまでは問われていないが、「(普段は)インターネットで何をしている?」との質問に「動画を見ている」と答えられる程度には視聴していることに違いはない。次いで多いのはゲームで60.6%。エンタメ目的の利用が多分におよんでいることになる。
次いで多いのは勉強で36.6%。音楽視聴の27.2%、情報検索の24.5%、撮影や制作、記録の17.1%が続く。コミュニケーション(電子メール、メッセンジャー、ソーシャルメディアなど)は12.2%。
これをインターネットを利用する機種別に見たのが次のグラフ。ただし一部機種では回答総数が少数のため、データにぶれを起こしている項目もある。まずはモバイル系機種。
↑ インターネットで何をしているか(9歳以下、インターネット利用者限定、複数回答、利用機種別)(2022年)
スマートフォンでは動画視聴やゲームの値が多いが、従来型携帯電話ではコミュニケーションが最大値となり、他の用途は1割前後にとどまっている。これは機種で利用できるか否かとの性能上の問題によるもの。また、子供に従来型携帯電話を保護者との連絡用として持たせている場合も少なからずあるだろう。
また単なるスマートフォンと未契約のスマートフォン(自宅などのWi-Fiでインターネットに接続する)との間では、利用スタイルに大きな違いは見られないことが確認できる。これは未契約のスマートフォンを与えられた子供が、利用を自宅内に制限されているからかもしれない。自宅のWi-Fi経由でインターネットを利用する限りでは、単なるスマートフォンとほぼ同様に使えるからだ。
続いて自宅用のパソコンやタブレット型端末、家庭用ゲーム機など。
↑ インターネットで何をしているか(9歳以下、インターネット利用者限定、複数回答、利用機種別)(2022年)
自宅用パソコンやタブレット型端末と比べると、学校配布・指定のパソコンやタブレット型端末では情報検索や勉強、撮影や制作、記録といった特定用途での利用でのみ値が高くなっている。音楽視聴や動画視聴、ゲームといったエンタメ系の用途は、学校配布・指定のパソコンやタブレット型端末では低い値にとどまっている。あくまでも学習目的で配布されたのだから、遊びには使えないということなのだろう。
ゲーム機は当然の話だが、ゲームに特化している。他方、動画視聴をする人も34.4%と高い値が確認できるのは興味深い。その他の利用目的はごく少数派でしかない。
あまり注目されることのないテレビだが、他機種同様動画視聴がもっとも高い値。そのほかには音楽視聴が17.1%、ゲームが7.9%。インターネットも使えるテレビで何をしているのか気になる人も多いだろうが、子供に限れば動画や音楽、ゲームという次第ではある。
年齢階層別ではどうだろうか
続いて該当者の年齢階層別。できれば機種別と合わせ細分化したかったのだが、区分が細かく回答者数が少なすぎ、統計的にぶれが多分に生じるので、いずれかの機種でインターネットを利用している人限定にとどめた。
↑ インターネットで何をしているか(9歳以下、インターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2022年)
コミュニケーションや情報検索、ゲーム、勉強はおおよそ年齢が上になるに連れて利用率が高まる傾向にある。特に6-7歳から値が大きくなるのは、小学校への入学がきっかけだろうか。特にコミュニケーションはその可能性が高い。
他方、動画視聴は興味深いことに低年齢ほど高く、年が上になるに連れて値を落とす傾向がある。動画視聴は多分に、子供が自分で対象動画を検索するのではなく、保護者が再生させて閲覧させるだけのような、テレビと同様の利用が行われているのかもしれない。子供自身が能動的に楽しめるコミュニケーションやゲームの利用率が高まるのとともに、動画視聴への注力が減っていくというところだろうか。
もっともこれはインターネットを利用している人に限定した値。インターネットの利用率は年齢とともに上昇するため、インターネットを利用していない人も合わせた比率を年齢階層別に計算すると、何らかの端末でインターネットを用いて動画視聴をしている子供の割合はおおよそ年齢とともに増加することになる。
↑ インターネットによる動画視聴率(9歳以下、各年齢階層全体比、年齢階層別)(2022年)
「9歳以下の子供のうち約7割がインターネットで動画を見ている時代」と表現すると、色々と思うところがある人もいるのではないだろうか。
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