現在の生活への気持ち、満足派は51.8%
2023/02/15 02:00
内閣府は2023年1月24日付で、「国民生活に関する世論調査」の最新版となる2022年版の結果を公表した。その内容によれば、現在の回答者自身の生活に関する満足度合いとして、「満足している」「まあ満足している」の合算で算出される満足派の割合は、全体の51.8%に達していることが分かった。男女別では女性の方が、年齢階層別では若年層の方が満足派の割合が多い傾向が見受けられる(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。
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「今の生活に満足」51.8%が同意
調査要件などは先行記事【政府への要望、社会保障に物価対策(最新)】を参考のこと。
次に示すのは「あなたは、全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください」と回答者自身の生活への満足感を尋ね、選択肢として「満足している」「まあ満足している」「やや不満だ」「不満だ」を提示。そのうち前者「満足している」「まあ満足している」を満足派として合算し、その値を満足度として示したグラフ。全体では51.8%が満足派との結果となった。
↑ 現在の生活に対する満足度(都市規模別)(2022年)
回答者の居住地域の都市規模別では東京都区部がやや高めだが、それ以外は傾向だった差異は無し。東京都区部に住む人は生活への満足度が、他地域の人よりも高いことになる。それだけ生活環境がよいのだろうか。都道府県別などの動向も知りたいところだが、今調査の公開値では確認できなかった。
ともあれ、51.8%の人は現状の生活には満足しているとの認識を持っている。
これを男女別・年齢階層別で見ると次の通り。
↑ 現在の生活に対する満足度(男女別・年齢階層別)(2022年)
男女別では女性の方が満足派が多い。また年齢階層別では18-29歳が一番高く6割台を示すが、50代より年上は10%ポイント程度下がり5割前後となる。60代が一番低い値を示しているのは、定年退職で生活環境が変わり、不満を覚えるようになっているのだろうか。
経年変化をたどる
余談になるが、全体値としての満足派の動向を精査した結果が次のグラフ。なお2021年以降は新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーな傾向が出てしまっている。経年の傾向分析の上では注意が必要となる。
↑ 現在の生活に対する満足度(満足派)
数年のずれが生じている期間もあるが、おおよそ景況感に似た動きをしているのが興味深い。バブル崩壊直前までつけていた高値は、その後するすると落ちていき、ITバブルでも下げ止まらない。デフレ感が強い心理的影響を与えていたことがうかがえる。その後、いざなみ景気期間はやや持ち直しを見せるが、金融危機、さらにはリーマンショックで大きく落ち込む。それ以降は震災時も値を上げるが、バブル期の最高値を目前にして足踏み、そしてこの数年で大きく伸びた次第である。
なお一部に2016年分調査から調査対象をこれまでの20歳以上から18歳以上に下げたために、2016年分以降が大きく伸びたのではとの指摘もあるが、はじめての18歳以上対象とした2016年分の値が70.1%(20歳以上に限れば69.8%)だったため、その指摘は当てはまらない。
一方で2021年以降の大幅な減少は、上記説明の通り調査方法や設問様式に違いがあるのが主要因。しかし2021年だけでなく2022年も引き続き前年比で大きく減少していることから、単純にスタイルの変更だけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響により多様な面で生活が厳しくなり、満足と思う人が減った可能性は否定できない。世界規模の疫病が人々の生活を(心境的・認識として)厳しいものとしたとする結果は、容易に理解できるものではある。
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