自転車事故の交通事故全体比は2割強
2023/03/17 02:00
警察庁は2023年3月4日、2022年中の交通事故の状況などを集計した報告書「令和4年における交通事故の発生状況などについて」を発表した(【警察庁リリース発表ページ】)。今回はこの報告書による公開値を基に、交通事故全体に占める比率をはじめとした、各種自転車事故の状況の確認をしていくことにする。
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今件資料によれば、2022年の日本国内における交通事故全体の発生件数は30万839件(前年比−1.4%)、死者数は2610人(前年比−1.0%)との結果になった。
↑ 交通事故死者数(人)
↑ 交通事故発生件数(件)
↑ 交通事故死者(前年比)
今件事故発生件数と、公開データ内の「自転車交通事故件数(法令違反のあり無しを問わず)」を合わせ、「自転車による事故が交通事故全体においてどのような位置づけ・比率にあるか」を示したのが次のグラフ。事故件数は自転車が第1当事者(最初に交通事故に関与した車両の該当者のうち、過失の重い側。同程度の時には負傷程度が軽い側)・第2当事者(最初に交通事故に関与した車両該当者のうち、第1当事者以外の人)となった件数。さらに自転車同士の場合は1件として数えている。
↑ 交通事故発生件数と自転車交通事故発生件数・比率
交通事故発生件数全体数同様に、自転車による事故件数も減少を続けている(自転車交通事故発生件数は2021年以降は前年比で増加しているが、2020年が新型コロナウイルス流行による外出忌避で大幅に減ったことの反動と考えられる)。しかし自動車ほど啓蒙活動や安全対策が徹底していないこと、利用ハードルが低いこと(運転免許は不要で、子供でも技術を習得できれば運転できる)、そして自転車の高リスク利用者(若年層、高齢層)が増加したことなど複数の要因から、減少率はゆるやかなレベルにとどまっていた。
結果として交通事故全体に占める、自転車交通事故の件数比率は増加の傾向にあった。しかし2008-2009年の21.2%をピークとし、啓蒙活動などが功を奏しだしたのか、それ以降は減少傾向に転じた。2012年では6年ぶりに交通事故全体に占める比率が2割を切り、以降さらに低下を継続中だった。しかしながら件数比率は2016年を底として、2017年以降は再び前年比で増加してしまっている。おおよそ件数は減っているので、減少度合いが交通事故全体と比べて少なかったことになる。直近2022年の23.3%は記録のある1999年以降では最高値である。
この流れは交通事故全体ではなく死者数に限定した場合でも、大体同じような状況を示している。おおよそ横ばいが継続しているのは幸いだが。
↑ 交通事故死者数と自転車乗用中死者数・比率
↑ 自転車乗用中の死者数比率(年齢階層別)
高齢者の死者数比率が高いのも特徴。直近2022年では65歳以上で2/3近く、60歳以上ならばほぼ7割となり、さらに増加の兆しがある点にも留意が求められる(【年齢階層別・自転車乗車中の交通事故死者数推移】)。
携帯電話関連の自転車事故については、少なくとも今資料では特に統計はとられていない。自動車やバイクと異なり、自転車は運転の際に免許も必要とせず、事故の際の当事者の保護装置(シートベルトやエアバッグ)も無く、利用者の多くが十分な保険に入っていない。自転車に乗る際にヘルメットはともかく、バイクに乗る時のような専用のライダースーツを着たり肘・ひざ当てを付ける人は(ロードバイクのような専用の自転車を駆る人以外は)滅多にいない。
自転車で事故が起きた際のリスクは、自転車の方が自動車よりも高いとする考え方もある。もちろん「運転をするな」と禁じるわけではないが、運転の際には「走りながらの携帯電話利用」などもってのほか。くれぐれも安全運転を心がけてほしい。
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