科学技術を伝えて欲しい……諸外国の日本の情報入手先や期待する報道内容

2023/05/02 11:00

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自国と異なる生活様式や文化を持つ他国へ、興味や関心を抱くことは誰にでもある好奇心の発芽に違いない。そしてそれは同時に、他国からもまた、自国がそのような興味を抱かれることを意味する。自国が他国からどのように思われ、どの部分に興味を持たれているかは、知る機会が少ない一方で、気になる話ではある。今回は新聞通信調査会が2023年2月19日に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」などの内容から、どのようなルートで日本の情報を入手しているかについて確認していくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査】)。

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今調査における調査要項は先行記事【諸外国における新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。

諸外国の人たちはどのようなルートで日本の情報を入手しているのだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。ただしこの設問は直近年度の調査では省略されているため、前回調査年度(2020年度)の値で考察する(2020年度では新型コロナウイルス流行の影響でイギリスにおける調査が中止されているので空欄となっている)。

↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2020年度)
↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2020年度)

どの国でも最大の入手先はインターネット、ではなく自国のテレビや新聞、雑誌といった従来型大手メディア。インターネットがそれに続くが格差は大きい。学校教育も一部の国では相当数に上っているが、おおよそ従来型大手メディアとインターネットに頼っていることが分かる。

他方中国では唯一、インターネットによる情報取得が自国のテレビや新聞、雑誌を超え、最大値を示している。調査対象が中国では全国ではなく都市部なのも一因だが、インフラとしてのインターネットの浸透ぶりがあらためて認識できる。タイも調査対象が全国ではなく都市部なのも一因だが、インターネットの値が自国のテレビや新聞、雑誌に迫る勢いで高いのが特徴的。

ともあれ、他国への日本の情報周知にはインターネット経由はもちろんだが、それぞれの国に対する大手従来型メディアへの情報公開、教育機関向けの情報発信、来日している人たちへの積極的なアプローチが求められると考察できる結果ではある。歴史的背景を考慮すると難しいかもしれないが。

それでは回答者はそれぞれの自国メディアに対し、日本のどの部分の情報発信を望んでいるだろうか。見方を変えれば日本が他国のメディアに向けて情報発信・提供を行う際に、重点を置くべき分野である。こちらは直近の2022年度の値を適用してグラフを作成、考察する。

↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2022年度)
↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2022年度)

欧米は項目別に関してはおおよそ同じ優先順位だが、やはりアメリカ合衆国の期待度は高い。他方、欧米いずれもファッション・アニメ・音楽に対する期待度が低いのが意外か。

アジアではタイが全体的に高い値を示し期待分野が多方面にわたっていることが分かる。特に観光の値が他国と比較して高く出ているのが印象的。一方中国や韓国は自国内の項目では科学技術に関する期待が高く、政治・経済・外交政策が続いている。中国ではファッション・アニメ・音楽も高い値だが、韓国では低めの値となっており、違いが生じているのは興味深い。中国では低めの国際協力・平和維持活動が韓国では高い値になっているのは、日本との間で協力体制が必要な環境下にあるからだろうか。


※2023.05.02.タイの値に関して正しい情報を新聞通信調査会様からご提供いただけましたので、その値を基に記事を再構成しました。


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