「もっと大事なものがある」「どんなことをして稼いでもよい」15歳のお金に対する価値観の確認(最新)
2024/02/24 02:34
金融広報中央委員会「知るぽると」では毎年の「家計の金融行動に関する世論調査」以外に、5年おきに「子どものくらしとお金に関する調査」を実施し、子供の視線からのお金に関する意識の実態を調査・確認していた。その調査は新型コロナウイルスの流行による中断を経て事実上終了してしまったが、代わりに15歳(高校1年生)を対象にした「15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査」が実施されることとなった。今回はその結果報告書を基に、15歳におけるお金に対する価値観を、2つの設問に対する反応から確認していくことにする(【15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査2023年調査結果】)。
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今調査は2023年6月15日-7月14日に日本全国の高校1年生に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3000人。直近の国勢調査の結果を基に、15歳の地域比率にあう形で割り付けを行っている。
お金はさまざまなサービスや物品と交換が可能で、多様な労務や提供物の代替として受け取れ、さらに蓄積により時間を経ての価値保存が可能な、非常に便利な「道具」である。たとえばパン1年分をまとめて手に入れて品質を維持したまま保存することは難しいが、パン1年分のお金を手に入れて、毎週そのお金からパンを購入することは誰にでもできる。
最初に示すのは、お金が一番大切か、言い変えれば「お金よりも大事・大切なものがある」との問い。色々と大切なものを頭に思い浮かべ、それらの中でも優先順位が一番高いものが「お金」であるか否か。かつてテレビドラマで使われ流行言葉となった「同情するなら金をくれ」に代表されるように、お金がすべて他の物事よりも上位優先度があるか否か、とのことだが、直近では7割強が肯定する結果となった。
↑ お金よりも大事・大切なものがある
具体的にお金より優先順位が高いものが何かについては問われていないが、個々の思惑で色々な対象があるのだろう。あるいは、具体的に何がお金よりも大事なのかはイメージできないものの、お金が一番大事で大切だとする考えには抵抗感のある人が「そう思う」を選んだケースもあるかもしれない。
経年推移でみると、2015年までは大きな違いは無かったものの、2023年では肯定派が減り、否定派と「どちらともいえない」が増える形となった。調査方法・調査対象母集団が厳密にはこれまでと異なることから生じたぶれかもしれない。肯定派の減少が生じていることに留意する一方、傾向としての動きなのか統計上のぶれなのか、次回以降の調査結果を待つ必要があろう。
続いて、「お金よりも大事・大切なものがある」とは正反対の向きにあるような話として、「法律違反でなければ、どんなことをしてお金を稼いでもよい」を挙げた時の回答。こちらは過去の調査では該当設問がないので、直近の2023年分のもののみとなる。
↑ 法律違反でなければ、どんなことをしてお金を稼いでもよい
お金を稼ぐためには、犯罪行為でなければ何をしてもよいとする意見には、「そう思う」とする人は18.7%でしかなかった。「そう思わない」は61.2%と多数派。一方で「どちらともいえない」が20.0%もいて、設問そのものの難しさを物語っているように見える。調査の性質上、具体的事例を挙げるのは難しかったのだろうが、やはり抽象的な話だけでは判断がつきにくいのも事実ではある。
例えば、ずるい・卑怯だと言われるぐらいのものなのか、それとも倫理的・道徳的には到底許されないレベル(お金を得る代わりに色々なものを失ってしまうほど)のものなのか。それによって回答結果は大きく変わってくるだろう。もっとも設問の解釈によっては、後者が該当すると見なしてもよさそうだが。
サービスや物品との交換が可能な「お金」は、あればあるだけ選択肢が増える。余計な労力を使わなくても済む。しかしそれらはすべて「手段」であり、最終的な「目的」ではない。目的達成のための中間的な目標として「お金」に目を向けるのならともかく、最終的な目標・目的としてお金をすえると、多くの場合は道を踏み外してしまう。「お金とは何か」という根本的な仕組み・問題も含め、今一度じっくりと自分自身で考え直し、あるいは子供に教えるべきだろう。
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