直近では個人所得税18.7%、法人所得税11.7%、資産税8.1%、消費税20.9%…日本の国民負担率の詳細推移

2023/02/01 02:00

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先に【国民負担率の国際比較】でOECD(経済協力開発機構)の公開データベース【OECD.Stat】の公開値を基に、社会全体を維持するために租税や社会保障として徴収される金銭的な負担(国民負担)の国際的な比較を行った。今回は日本に焦点を当てて、その詳細な実情と経年推移を確認していくことにする。

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言葉の定義は先行記事「国民負担率の国際比較」、租税負担部分の詳細な区分に関する定義は【国民負担率の内情の国際比較】を参照のこと。

まずは日本における租税・社会保障費の対GDP比推移を折れ線グラフにしたもの。単純に租税と社会保障費それぞれ、そして合算したもの(国民負担)を併せ掲載したものが1つ、租税部分を詳細に区分し直したものを別途作成した。なお「一般政府」とは中央政府だけでなく地方政府や公的な社会保障基金を合わせた公的機関の総体。また「賃金・労働力税」はOECDの区分上では存在するが、日本では該当する税が無いためゼロとなっている。

↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、対GDP比)
↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、対GDP比)

↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、折れ線グラフ、対GDP比)
↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、折れ線グラフ、対GDP比)

租税は1960-1980年代にかけて上昇したものの、その後は下落。おおよそ15-20%の領域での推移。一方で社会保障費はほぼ上昇のみの動きを示しており、結果として租税と社会保障の合算となる国民負担もまた、増加する傾向にある。1990年代から2010年ぐらいまでにかけて、一時的に国民負担が減ったのは、租税部分の負担が減ったからに他ならない。昨今の負担増の認識も多分にこの社会保障費負担の増加によるものであることは、他の記事で複数の指標によって明らかにした通り。

租税部分を詳しく見ると、「消費税」は本来の消費税以外に個別の商品やサービスの売買や利用などに課せられる税、たばこ税や自動車税なども含まれているため、消費税導入以前にも一定の値を示しているが、消費税の導入(1989年)、5%に引き上げ(1997年)、8%に引き上げ(2014年)、10%に引き上げ(2019年)とともに増加していくようすが把握できる。他方、景況感に大きな影響を受ける個人所得税や法人所得税はバブル時代にピークを迎え、その後は失速している。タイミング的に法人所得税が先に落ち、その後個人所得税が落ちていくのは興味深い。

これを積み上げグラフの形で見たのが次の図。構成比も算出した。国民負担総額の動向を推し量るのはこちらの方がよいだろう。

↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、積み上げグラフ、対GDP比)
↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、積み上げグラフ、対GDP比)

↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、対国民負担総額構成比)
↑ 日本の租税・社会保障費(一般政府、租税部分詳細、対国民負担総額構成比)

個人も法人も所得税の負担が減り、その分社会保障費が増え、国民負担が底上げされている、特にリーマンショック以降の国民負担の増加度合いは社会保障費の負担増によるところが大きいのが分かる。

すべての項目のデータがそろっている最新の値となる2020年分では、全体比で個人所得税は18.7%、法人所得税11.7%、資産税8.1%、消費税20.9%、その他の税0.3%、そして社会保障費は40.4%。国民負担の4割強が社会保障費で占められている。さらに言えば社会保障に関してはこの負担でも足りず、それを一般政府からの助成で補っているのが現状である。


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