日本は個人所得税18.5%・法人所得税12.8%…国民負担率の内訳の国際比較

2023/02/01 02:00

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先行記事【国民負担率の国際比較】において、OECD(経済協力開発機構)の公開データベース【OECD.Stat】の公開値を基にOECD加盟国における国民負担率の実情を確認した。その記事では国民負担を租税負担と社会保障負担の合算としてのみ表現したが、今回は租税負担の部分をもう少し詳しく区分した上で、その実情を確認していく。

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まずは言葉の定義。データの取得元や国民負担の中身、租税や社会保障に関しては「国民負担率の国際比較をグラフ化してみる」にて解説済み。今回細かく区分する租税負担の部分の詳細は次の通り。データベースの項目の表記方法とその内容を箇条書きにした。

・個人所得税
「1100 Taxes on income, profits and capital gains of individuals」。個人の所得(収入から経費や控除を引いたもの)に課せられる税。国と地方の合算。

・法人所得税
「1200 Taxes on income, profits and capital gains of corporates」。法人の所得(収入から経費や控除を引いたもの)に課せられる税。国と地方の合算。

・社会保障費
「2000 Social security contributions」。一般政府から社会給付を受けるための義務的徴収金。各種社会保険料。

・賃金・労働力税
「3000 Taxes on payroll and workforce」。賃金の一定率や人数あたりで就業者に課せられる税。社会保障費と異なり、一般政府からの社会給付との連動性は無い。

・資産税
「4000 Taxes on property」。資産の所有や取引(贈与や相続など)などに課せられる税。資産の売却益は個人所得税や法人所得税に分類。

・消費税
「5000 Taxes on goods and services」。付加価値税、消費税。それ以外に個別の商品やサービスの売買や利用などに課せられる税(日本ならたばこ税や自動車税など)。

・その他の税
「6000 Taxes other than 1000,2000,3000,4000 and 5000」。上記のいずれにも該当しない租税。

次に示すのはこの区分に基づいた国民負担率の内情の対GDP比と、構成比率。実データは原則2021年が最新だが、一部の国ではまだ2021年分が算出しきれていないため(オーストラリアなど)、その国では2020年の値を適用している。

↑ 国民負担率の内訳の国際比較(OECD加盟国、対GDP比)(2021年あるいは最新年)
↑ 国民負担率の内訳国際比較(OECD加盟国、対GDP比)(2021年あるいは最新年)

↑ 国民負担率の内訳の国際比較(OECD加盟国、構成比率)(2021年あるいは最新年)
↑ 国民負担率の内訳の国際比較(OECD加盟国、構成比率)(2021年あるいは最新年)

日本の国民負担を他国と比較すると、消費税や個人所得税の割合が小さい一方、社会保障費が大きい実情が見て取れる。また資産税も大きい。

消費税に関してはチリは別としても欧州圏でおおよそ高めの値が出ている。これは【諸外国における付加価値税率(標準税率)の推移の国際比較(財務省)】の説明にある通り、EU諸国においてはEU指令によって付加価値税の標準課税を15%以上とすることが定められているため。欧州圏の国は「大きな政府」となりがちで、文化的な後押しがあるのかもしれないとの仮説は以前の記事で言及したが、この取り決めもそれによるものかもしれない。

他方日本だけでなくアメリカ合衆国、カナダなど非欧州圏ではおおよそ消費税の構成比率が低め。日本でもすでに消費税率は10%に達しているが、そして上記の解説の通りたばこ税や自動車税などが合算されても、OECD内では対GDP比、国民負担の構成比ともに小さい水準にとどまっている。

消費税の対国民負担における構成比率で日本とほぼ同率のアメリカ合衆国を比較すると、アメリカ合衆国は個人所得税の比率が日本の2倍以上ある一方で法人所得税の比率は低い。

↑ 国民負担率の内訳の国際比較(日米、構成比率)(2021年)
↑ 国民負担率の内訳の国際比較(日米、構成比率)(2021年)

他方、社会保障費では日本はアメリカ合衆国の2倍に迫る構成比率を示している。両国の国民負担の実情、消費税による国民負担が低い国のそろばん勘定の違いがよく見えてくる次第ではある。


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