新聞やテレビ、学校教育、そしてウェブ展開…北方領土に関する参加型の広報啓発活動で参加促進として望まれるもの
2019/01/05 05:00

内閣府では2018年12月21日に北方領土問題に関する世論調査の結果を公開したが、その内容によれば北方領土に関する参加型の広報啓発活動において、参加促進手法としてもっとも多くの人が重要視しているのは「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」だった。6割近くの人が望んでいる。次いで「北方領土の問題についての学校教育の充実」「テレビや新聞で問題を取り上げてもらうための取り組み」が続いている(【発表リリース:平成30年度世論調査(附帯調査)】)。
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今調査の調査要件や北方領土そのものに関しては、先行記事【北方領土問題認知度96.8%、テレビ・ラジオ、新聞が主な情報源(最新)】を参考のこと。
先の記事にあるように、北方領土の返還を要求する運動が多様な手法で行われているが、参加意思を持つ人は3割に届いていない。

↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加したいか(2018年)(再録)
今件運動では、その中心となってきた元島民をはじめとした関係者が高齢化しており、新しい参加者と運動の継続・意欲の高まりが強く求められている。そこでどのようにすれば新たな参加者を運動に取り組むことができるのか、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。最上位には「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」が59.2%でついている。

↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動への参加者を増やすためにはどのような取り組みが必要か(複数回答)(2018年)
「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」は第3位の「テレビや新聞で問題を取り上げてもらうための取り組み」と、テレビや新聞などのマスメディアを使う点では同じだが、情報の公知に関しての主導権をどこが握るかの違いがある。トップはあくまでも政府や啓蒙活動をする関連機関、第3位はテレビや新聞などのマスメディア側にある。双方を見比べ、トップの選択肢の方が高い値を示している点も併せ、色々と考えさせられるところがある。
先行記事「北方領土問題認知度96.8%、テレビ・ラジオ、新聞が主な情報源(最新)」にもある通り北方領土問題の認知ルートとしてはテレビ・ラジオや新聞が有効性が高く、学校の授業で知った人は25.4%に留まっている。その上で学校教育の充実を求める声が第2位として入っているのは、「子供のうちから」との思いだけでなく、「現状では十分な質・量に達していない」との認識が強いものと考えられる。
また「現状では全然足りない」との点では「ホームページやSNS(ソーシャルメディア)での広報・啓発の充実」「SNSで北方領土を取り上げてもらう取り組み」も「学校教育」と同じ。特にSNSは認知ルートとしては4.3%でしかないのにもかかわらず21.8%の人が必要と考えており、SNSにかける期待が大きいことを表している。
他方、「気軽に参加できる広報・啓発イベントの充実」「団体関係者などが一同に会する大会の充実」のような、実際に足を運ぶ、日常生活の時間を新たに割くような行動の同意者は低め。「受け手にとって新たな負担となるようなものは避け、日常生活に溶け込むような負担の無い、軽い切り口でアピールすべき」との総意が透けて見えてくる。
特にインターネット関連の展開は重要と思われるが、同時に行政によるインターネットにかかわる「仕掛け」は概してピント外れ、旧態依然の手法をそのまま取り組んで大いに空振りする傾向が強い。海外の事例も参考にした上で、鼻で笑われないような手立てを講じてほしいものだ。
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