参加希望は3割足らず…北方領土に関する参加型の広報啓発活動の実情
2019/01/04 05:00
内閣府は2018年12月21日、北方領土問題に関する世論調査の結果を公式サイトで公開した。それによれば北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加を希望している人は3割足らずに留まっていることが分かった。参加したくない人の意見としては、「内容がよく分からない」「参加する意義を感じない」が上位を占めている(【発表リリース:平成30年度世論調査(附帯調査)】)。
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今調査の調査要件や北方領土そのものに関しては、先行記事【北方領土問題認知度96.8%、テレビ・ラジオ、新聞が主な情報源(最新)】を参考のこと。
北方領土を巡っては外交交渉の際のバックボーンとなる国民世論を高めるため、返還署名運動や各種公演・イベントが開催されたり、北方領土の日(2月7日)を中心に行事が展開されるなど、さまざまな北方領土返還の要求運動が取り組まれている。このような北方領土に関する参加型の広報啓発活動に、何らかの形で参加したいか否かを尋ねたところ、参加希望者は25.8%に留まる形となった。積極的な参加希望者は1.1%でしかなく、残りの大半は「機会があれば」「誘いがあれば(考えてもいい)」と消極姿勢に留まっている。
↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加したいか(2018年)
強い拒否感を覚える人は8.3%に留まっているが、それを含めた参加否定派は7割近く。
それではなぜ運動に参加したくないのか。不参加意思を持つ人(「あまり参加する気はない」「絶対に参加したくない」回答者)に複数回答で理由を聞いたところ、最上位についたのは「内容がよく分からない」で、35.2%の人が同意を示している。
↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加したくない理由(参加したくない人限定、複数回答)(2018年)
参加の意思に関する設問は「北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加することについて、あなたの気持ちに最も近いものをこの中から1つだけお答えください」のみ。具体的に何をするかは説明に無く、また実際に一般の人の活動状況もあまり認識されていないことから、何をするのか分からないのに参加する気持ちにはなれないと考えるのは道理ではある。
また、個人ベースでの参加で何か物事が動くのか、現状ですでに行われているであろう活動を見ても、目だった反応や社会の変化は見られない以上、参加意義は無いのではと感じるのも仕方が無い。「自分が参加しなくても他の誰かがやってくれる」も同様の意見として考えられる。
「北方領土の問題に関心が無い」のは仕方が無いが、「政治的運動参加に家族や周囲の理解が得られない」との回答が14.5%出ているのは、担当部局において頭の痛い話に違いない。
上位2項目は広報活動そのものの不足が多分に影響していると考えられる。参加を促すためには、まずその活動自身の実情を積極的に、多方面に向けて、分かりやすく正しい内容をアピールすべきだろう。
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