尖閣諸島を知った経由「テレビ・ラジオ」が93.0%、求める取り組みも「テレビ」が最多回答
2019/12/11 05:00
内閣府は2019年12月6日に、尖閣諸島に関する世論調査の結果(概要)を発表した。その内容によると「尖閣諸島」そのものを知っている人においては、知った経路としてもっとも多かったのは「テレビ」だった。93.0%の人がテレビを通じて尖閣諸島のことを知ったと答えている。次いで「新聞」「雑誌・書籍」が続いている。また、今後尖閣諸島への関心を高めるために必要な啓蒙活動としては、「テレビ・ラジオ番組や新聞を利用した詳細な情報提供」を挙げる人がもっとも多く、8割近くに上っていた。同諸島問題では現状認知も今後の啓蒙も、テレビが一番頼りとされているとの結果が出ている(【内閣府:世論調査(附帯調査)(全調査)一覧ページ】)。
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テレビやラジオ経由の認知が圧倒的な尖閣諸島問題
今調査の調査要綱は先行記事【尖閣諸島そのものの認知度90.0%、「日本が有効支配・領有権問題存在せず」は40.6%(最新)】を参照のこと。
その先行記事で詳しく解説しているが、尖閣諸島は行政的には沖縄県に属する諸島で、国際法上も歴史的にも日本国有の領土。しかし東シナ海で石油埋蔵の可能性があることが指摘されてから、中国や台湾が領有権を主張し始め、外圧や実力行使を繰り返す事態が続いている。その尖閣諸島そのものを知っている人は、調査対象母集団のうち90.0%に達していた。
↑ 「尖閣諸島」と総称される島々を知っているか(再録)
この「知っていた人」に、どのような経路で知るに至ったかを尋ねた結果が次のグラフ。圧倒的に「テレビ・ラジオ」が多く93.0%、次いで「新聞」が55.4%。いわゆる4マス経由で知った人が多数に及んでいる。なお空白部分は該当年でその調査項目が存在しなかったことを意味する。
↑ 「尖閣諸島」の認知経路(複数回答、知っていた人限定)
同じ4マスでも「テレビ・ラジオ」のような電波媒体系の効果は大きく、紙媒体系の「新聞」は小さなものとなっている。また同じ紙媒体系でも報道色の薄い「雑誌・書籍」は、ひときわ回答の値が低い。
もっともこれは雑誌や書籍の場合には、掲載される機会そのものが少ないのに加え、記事掲載誌がある程度絞られてしまい、「他の記事に合わせてついでに」との機会があまりないのが原因だと考えられる(例えば週刊漫画雑誌に、いきなり尖閣諸島問題の特集記事が何十ページにもわたり掲載されれば、よほど上手い切り口でない限り、違和感を覚える人が多数に上るはずだ)。一方テレビやラジオ、新聞の場合は、尖閣諸島問題そのものだけを視聴するのではなく、全般的に利用する中で、併せて見聞きして知ったことが想定される。
インターネット関連の情報は13.4%、政府のインターネット情報にいたっては3.0%でしかない。解説しているサイトが比較的少ないことも一因だが、インターネットの情報はあまり公知には役立っていない現状が再確認できる。
今後の啓蒙にも期待がかかるテレビ・ラジオ
テレビやラジオ、新聞経由で認知した人が多いこともあり、今後の啓蒙に求められる取り組み方法においても、テレビや新聞に対する期待は大きい。
↑ 「尖閣諸島」への関心を高めるためにどのような取り組みが必要と思うか(複数回答)
「テレビ・ラジオ番組や新聞を利用した詳細な情報提供」を期待する声は8割近く。見方を変えると、現状の広報・放送量では啓蒙としてまだ足りない、さらに質・量ともに必要であるとの認識が強いと解釈ができる。
興味深いのは「領土・主権展示館の周知や内容・イベントの充実」を求める声が1/4を超えていること。認知経由としての「領土・主権展示館」は1.2%のみだったが、資料がしっかりと集められた上で一望できる、領土・主権展示館への需要はかなり大きい。
需要の大きさといえば「ウェブサイトやSNSによる広報」の期待も高く、42.0%(2017年までこの設問は「見易さ・分かりやすさを重視したウェブサイトの開設」だった)。インターネット経由で認知した人が1割強でしかなかっただけに、適切で分かりやすく、ハードルが低いタイプの専用サイトの開設や運用、SNSによる(公的な)情報発信を望む声は強い。
今リリースには調査目的として「尖閣諸島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」との文言が確認できる。今回の項目に関しては、この言葉通り、積極的かつ正しい方向性で「参考」にし、今後に活かしてほしいものである。
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