インターネットニュースの有料サービスを利用している人は1割足らず
2023/01/10 02:00
インターネットの普及で誰もが気軽にニュースを取得できるようになったが、そのニュースを配信する側はただ働きをするわけにもいかないので、何らかの形で売上を確保する必要がある(あるいは集客効果を期待したプロモーションと割り切る場合もあるが)。しかし無料での情報のやり取りが文化的に浸透しているインターネット上では、有料サービスの提供は難しい。それでも最近は紙媒体の新聞同様に、月ぎめで課金するタイプの電子新聞、さらには一定数までの記事を購入できる新聞記事の購読様式など、複数の手段が提供されている。それらインターネットニュースの有料サービスは、どこまで利用されているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が2022年11月13日に発表したメディアに関する全国世論調査の結果をもとに、その実情を確認していくことにする(【発表リリース:第15回メディアに関する世論調査結果】)。
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今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、トップはNHKテレビ(最新)】を参照のこと。
次に示すのはインターネットニュースの有料サービスの利用状況。複数回答ではあるが全選択肢の値を足しても100%に満たないのは、選択肢に無い様式のインターネットの有料ニュースサービスを利用していたから、またはどの選択肢に該当するか分からず回答しなかった人がいたと考えられる。
↑ インターネットニュースの有料サービスの利用状況(複数回答)(2022年度)
利用していないと断言している人が92.8%と圧倒的多数。アプリゲームの課金やインターネット通販の利用などインターネットのサービスでお金を使う人は多いはずだが、インターネットニュースに限るとほんのわずかでしかない実情が分かる。有料の電子新聞や新聞記事の購入者は4.0%、新聞以外の有料ニュースサイトやアプリは1.3%、雑誌の有料記事にいたっては0.6%でしかない。
なおいずれの様式にせよ利用している人の合計は男性で7.1%、女性で4.2%。全体値は非公開だが加重平均で概算すると5.56%。月ぎめによる(紙媒体の)新聞購読者率58.3%と比べればずいぶんと低い値だ。
この実情を属性別で確認したのが次のグラフ。回答者が皆無の属性は値の部分が空欄になっている。
↑ インターネットニュースの有料サービスの利用状況(複数回答、属性別)(2021年度)
18-19歳で新聞以外の有料ニュースサイトやアプリ、雑誌の有料記事を利用している人は皆無。いずれかを利用している人がもっとも多いのは40代と60代で、有料電子新聞・新聞記事は40代と50代が最多。雑誌の有料記事は60代が最多となっている。70歳以上もそれなりに利用しているのには驚きを覚えるかもしれない。
有料電子新聞・新聞記事の動向を見ると、男女別では男性の方が利用率は高い。仕事などで使うケースが多いことを考えれば当然の結果かもしれない。そして年齢階層別では18-19歳は1.8%、20代以降は40代・50代まで年齢とともに増加し、40代・50代がピーク。60代でも3.4%が利用している。しかし見方を変えれば、どの属性でも利用率は1割に満たない。
今後電子新聞がもっと使いやすく、コストパフォーマンスに優れた内容・サービスを提供し、紙媒体の新聞よりも購読する魅力にあふれる存在となる、あるいは紙媒体の新聞は必要ないが電子新聞ならば購読してもよいと考えるようになることで、この比率は増えることになるのだろうか。少なくとも現状では、紙媒体の新聞読者の減少を補てんできるほどの増加は期待できそうにない。それが分かるのが次のグラフ。
↑ 今後の新聞との接し方(2022年度)
現在電子新聞を購読している人も含まれるが、今後(も)電子新聞を購読するとの意思を持つ人は5.4%(2.9%+2.5%)。記事のみの購入の人3.1%を合わせても8.5%でしかない。
紙媒体の新聞だけを購入する人が47.2%いるのは幸いだが、今後情勢の変化でこの47.2%の人が紙媒体の新聞から離れたとして、電子新聞にどれだけの人が移行することになるのだろうか。
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