直近では中国30.5%、米国13.4%、インド6.3%…1971年以降の世界の二酸化炭素排出量比率
2022/11/26 02:00
二酸化炭素の増加による地球温暖化リスクについては、電力事情の変化やそのリスクの実体性を後押ししていた論説の信ぴょう性の問題もあり、昨今では以前ほど話題に上ることは無くなりつつある。それでもなお当サイトでは、国際エネルギー機関(The International Energy Agency (IEA))が発行している公的資料「Greenhouse Gas Emissions from Energy Highlights」を基に、世界主要国の二酸化炭素排出量を定期的に精査している。各国の工業化、公害対策の進展などを推し量ることができるのが最大の理由。今回は排出量上位国における、中期的な動向を確認していく。
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まずは世界全体の総量、そして主要国(直近年時点で排出量上位国)の経年における二酸化炭素排出量推移。1971年以降、および1990年以降に関し、その推移をグラフにする。なおロシアは1989年分まではソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)のデータしか存在しないので、その部分は省略している(結合するのも一つの手だが、対象領域が異なるので連続性が怪しくなるため断念した)。
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、世界総量、億トン)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)(1990年以降)
中国の急上昇ぶり(増加率、増加量)やアメリカ合衆国の昔からの値の大きさ、そしていくつかの先進諸国における技術革新・公害対策などによる効果が出て値が減っているのが確認できる。日本やドイツは元々排出量が(今グラフ中では)少なめなポジションなのに加え、それでもさらに値を削っているのが見て取れる(もっとも2008年から2009年にかけての減少は、景気後退によるところも小さくない)。
なお中国とアメリカ合衆国の順位が入れ替わったのは2006年。この時アメリカ合衆国は59.4億トン、中国は64.9億トンだった。
また直近2020年において中国以外の国が新型コロナウイルス流行の影響で経済が低迷し、結果として二酸化炭素排出量を前年比で減らしているのに対し、唯一中国のみが増やしている実情が確認できる。
続いて全世界比の推移。こちらは冗長に過ぎることもあり、1990年以降に限定する。
↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(IEA調べ)
世界全体の排出量との比率の上でも、中国の増加、アメリカ合衆国の漸増から漸減への転換、インドの漸増が見て取れる。またドイツや日本は漸減状態にあることが確認できる。特に中国は確実にその値を増やしているのが容易に把握できる状況となっている。
なお日本が2011年以降わずかだが排出量が増加に転じたのは、震災起因による発電方式の状況変化に伴い、二酸化炭素排出量が増えているのを受けての結果である。先行別途記事で解説しているが、特に天然ガスの燃焼による増加が著しい。もっとも2014年以降は再び減少の動きとなっている。
最後に「国民一人あたりの」二酸化炭素排出量推移(直近年の国別排出量の上位国限定)。こちらは折れ線グラフでは分かりにくいところもあるので、直近10年分の棒グラフを併記し、合わせてその推移を見ることにする。なお棒グラフは直近年の国別排出量の多い順にしてある。
↑ 一人あたりの二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年排出量上位国、トン/年)
↑ 一人あたりの二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年排出量上位国、トン/年)(直近10年)
アメリカ合衆国は高めの水準だったが、じわじわと値を落としていること、ドイツや日本も同様に今世紀に入ってからは削減効果が出始めていることが読み取れる。ただし日本においては、2011年以降は一時的な上昇。東日本大震災による電力事情の影響が出ていた。
一方、中国の上昇ぶりも注目に値する。同国の人口を考慮すれば、この傾斜が何を意味するのか、今記事一つ目のグラフと照らし合わせれば容易に理解できるはずだ。また、人口の観点で考慮すると、今グラフでは傾斜こそゆるやかで一人あたりの値も低いものの、インドの動向も気になるところではある。
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