「車のある生活」購入コストや月出費は手取りと比べてどれぐらい?(2016年)
2016/01/06 15:00
これまで【今年の新成人、普免保有はどれぐらいだろうか?】をはじめ複数の記事で、ソニー損害保険が2016年1月5日付で発表した「2016年 新成人のカーライフ意識調査」をもとに、新成人におけるカーライフ(車のある生活)に関する実情を確認してきた。今回はいくぶんトリッキーな話ではあるが、提示された値を用い、新成人が頭に思い浮かべている「車のある生活」に関して、いくつかの指標を作成してみることにする(【発表リリース:2016年 新成人のカーライフ意識調査】)。
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今調査は2015年11月21日から30日にかけて2016年の新成人男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。
今調査結果では新成人における「カーライフをするにあたり1か月にかけられる金額」「カーライフをするにあたり必要な手取り月収」「車を購入する際の上限予算」が尋ねられ、その答えが掲載されている。これらの値を組み合わせることで、「車のある生活」を望んでいる新成人における各種金額の対月当たりの手取り比率(厳密には「カーライフが可能となる手取りを確保できた場合において、想定している対手取り比率」)が算出できることになる。
なお今件はリリースでは「手取り月収」との表記がされている。一方、一般論として「収入」「月収」は給与明細などに書かれている給料の額面、「手取り」「所得」はその額面から給与所得控除を差し引いたものとなる(自営業の場合は売上が「収入」、そこから必要経費を差し引いたのが「手取り」「所得」)。今件はその双方に受け取れる表記がされているが、単に収入を意味するものであれば「手取り月収」との表現はしないことから、「手取り」と判断した上で話を進める。
まず最初は新規に自前の車を調達する際の手取り比率。当然ほとんどの人は手取り一か月分で車が購入できるような高給取りであるはずは無く、自家用車の類が安いはずもないので、単純に月当たりの手取りの何倍かで表されることになる。無論値が大きい方が、余計にコスト計上ができる=車の必要性を強く認識していることになる。
↑ カーライフをするにあたり投入できる車の購入金額上限(月当たりの手取りの何倍か)(2016年の新成人対象)
全体では8.0倍。つまりカーライフをするにあたり「この程度の手取りが望ましい」と想定されている金額に対し、8倍の額を車本体の購入額上限として考えていることになる。見方を変えれば新成人の手取りを底上げできれば、それだけ高額の新車が購入され得ることになる。
女性・地方居住者はやや低め、男性・都心部居住者はいくぶん高めの比率が出ている。車本体への価値観の違いに加え、コスト意識の差が倍率にも表れているといえる。
以上はいわばカーライフのための初期費用だが、車を用いる際には当然定期的な出費も求められる。燃料代や駐車場代が代表的な出費。それではそれらのランニングコストは手取りの何%を想定しているのだろうか。こちらは月額コストが手取りを上回る状況は考えにくいので、手取りに対する%で表されることになる。
↑ カーライフをするにあたり投入できる1か月あたりの金額(対月当たりの手取り比率)(2016年の新成人対象)
ランニングコストは全体で7.76%。手取りが20万円なら大よそ1万5200円を想定していることになる。女性や都心部居住者はいくぶん比率が高く、男性や地方は低め。
特に都心部居住者は8.02%と8%を超えている。賃貸住宅を借りる際の賃料の目安は、手取りの2割から3割が上限と言われているが、そこに1割近くの上乗せが生活費用として加わるとなると、かなり苦しいそろばん勘定を強いられることになる。
今件は半ば数字遊び的な指標で、実用性がどこまであるのかは疑わしいものではあるが、あくまでも新成人を対象とした上で、「手取りの8倍が自家用車購入時の目安」「手取りの8%近くが自家用車保有時のランニングコスト」と見ると興味深いものがある。両方とも数字の上で「8」がキーワードとなるからだ。
今後この値がどのような変化を見せるのか、若年層の懐事情や車への価値の見出し方の変化と合わせ、見極めたいところではある。
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