トップは中国108.2億トンで全世界の30.5%、次いで米国47.4億トン…世界の二酸化炭素排出量比率
2022/11/16 03:00
世界のエネルギー需給に大きな影響を与えている二酸化炭素の排出量問題。当サイトでは定期的に世界主要国の二酸化炭素の排出量を公的データでチェックし、その状況を精査している。その動向を確認することにより、地球温暖化のリスクだけでなく、各国の工業化、公害対策の進展なども推し量れるからに他ならない。今回は2022年9月に発表された最新値を基に、「世界の二酸化炭素排出量比率」などを調べ、状況の確認を行うことにした。
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主要国の排出量と世界全体比
データの抽出元は国際エネルギー機関(The International Energy Agency (IEA))のサイトにある【Greenhouse Gas Emissions from Energy Highlights】。逐次最新版が更新・公開されており、現時点では2022年発行分を取得することができる。ここから各種データ(2020年時点でのデータが最新の値)を取り込み、グラフ化を行う。なお今件の二酸化炭素の値は燃料消費行動に伴うものだけでなく、移動によるもの、居住地域や商業地域からのものなども含む。
まずは世界全体の二酸化炭素排出量における、各国の比率。前回年2019年分では中国・アメリカ合衆国の順だったが、2020年分でもそれに変わりはない。
↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(IEA調べ、直近年上位国比率)(2020年)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国、億トン)
注目すべき動きとしては、上位国、特に新興国で増加を示していること。経済の活況化に伴い消費・生産が活発となれば、当然排出量も増加する。
中でも中国の多さが目にとまる。中国だけで世界の3割強もの二酸化炭素を排出している計算になる。また絶対量は中国と比べれば少ないものの、インドやロシアの伸び方の著しさが注目に値する。
一方で2020年には多くの国が前年比で減少している。特にアメリカ合衆国の減り方が著しい。これは新型コロナウイルス流行の影響を受けて、経済が低迷したことによるものと思われる。ただしそのような中でも、中国の増加具合に変わりがないのも注視したいところ。
日本ではグラフの対象期間より前の2011年以降においては、一時期増加の動きにあった。これは単なる経済復興だけでなく、震災起因による発電様式の変更を余儀なくされたことによるのも否定できない。ただし2014年以降は継続して減少しており、他国同様効率化が進んでいる動きが見受けられる。
複数の切り口で動向を確認
主な排出量上位国について、前世紀末の2000年以降の、各年における全体比の動向を示したのが次のグラフ。中国、アメリカ合衆国など上位国の相対的な位置関係の変化が見て取れる。
↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(IEA調べ)
上位2国(中国・アメリカ合衆国)の合計による全体比では大きな変化は無い一方、2006年に米中間で順位が入れ替わり、その後も両国の差異は広がるばかりとなっている。また2014年以降は第3位の位置についたインドもシェアを拡大する一方。直近2020年では上位3か国で全体の過半数、50.2%にまで達している(グラフの描写期間内では初めて)。
最後に示すのは、各国の排出量を単純にそれぞれの国の人口で除算して、一人あたりの排出量を算出したグラフ。国単位の排出量の直近年における上位国のみで確認している。
↑ 国民一人あたりの二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年排出量上位国、IEA調べ、トン/年)
各国の国内事情、都市集中の度合い、工業化・公害対策技術の違いなど多様な要因があり、単純に「国民一人あたりの量」だけで各国の二酸化炭素排出量について判断することは難しい。例えばこのグラフでは、中国の値はアメリカ合衆国の5割強でしかないが、上のグラフにあるように「国単位での総量」では中国ははるかにアメリカ合衆国を上回る値を占めている。
国単位で「中国」の二酸化炭素排出量が世界最大である事実に違いはなく、たとえ一人あたりの排出量が他国より少なくとも、「国単位として」課せられた責任は大きい。そもそも「国」とはその領域内におけるさまざまな要素の集合体であり、内包するものを統括する存在なのだから。
やや余談となるが、日本の一人あたりの排出量が少なめなのが目にとまる。電力消費総量でも同じ傾向が確認できるが(【石油36.4%・石炭24.6%・天然ガス23.8%・原子力1.8%…日本の一次エネルギー供給の動き(エネルギー白書)(最新)】)、いずれも相当な省エネ化・効率化が進んでいる証といえよう。
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