世界全体でも日本がトップの対外純資産国…対外純資産額の実情
2023/01/07 02:00
先行記事【主要国の対外純資産額】で財務省の公開データを基に、主要国の対外純資産額の実情を確認した。今回はその資料で用いられている一次データとなるIMFのデータベースから値を抽出し、世界全体の国を精査対象として対外純資産の実態を見ていくことにする。先の記事では日本が最大の純資産保有国、アメリカ合衆国が最大の純負債保有国だったが、全世界ではどのようにランキングは変わるのだろうか。
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対外純資産とは対外資産と対外負債を合算したもの。「対外」とは該当国が他国に保有している資産や負債のこと。詳しくは「主要国の対外純資産額」で説明しているのでそちらをご参照いただきたい。
次に示すのはIMFのデータベースで対外純資産額を確認できる国のうち、年ベースで取得可能な最新値となる2021年分がある国はその値、またない国は取得可能な2005年以降の値で最新のものを適用した計175か国について、上位国と下位国を抽出したもの。基データにある通り米ドル換算された値を用いている。なお下位陣のグラフでは最多負債国を左にしてある。
↑ 対外純資産(公的+民間、下位国、米兆ドル)(2021年)
↑ 対外純資産(公的+民間、上位国、米兆ドル)(2021年)
全世界を対象としても、最大の対外純負債を持つのはアメリカ合衆国。次いでスペインだが、アメリカ合衆国の額が大きすぎてグラフがアンバランスな形になっている。アメリカ合衆国とスペインとの額の差は20倍近く。
スペインの次はフランス、アイルランド、イギリス、オーストラリア、メキシコ、ブラジル、インド。経済的に難儀していることもあり、やはりそうなのかという感想を抱く国もあれば、意外なところで顔を見せていると思わせる国もある。
他方最大の対外純資産を持つのは、全世界で精査しても日本だった。次いでドイツ、香港、中国が続く。さらにノルウェー、シンガポール、カナダ、オランダが続く。
なおそれぞれのグラフの最下位がマイナス0.092兆ドル、プラス0.102兆ドルであることから、残りの国はプラス0.101兆ドルからマイナス0.091兆ドルに収まっていることになる。
先行記事でも言及しているが、この対外純資産は公的なものと民間のものを合算したもので、さらに資産部分は即時換金できるものではない。純資産を計算する時に行う、資産と負債の合算に、さほど深い意味合いはない。個々の国の財政状態を概要的に知る程度のもの、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべきであることは言うまでもない。
一方で、債務だけをことさらに強調して不安をあおったり、資産のみを提示して健全性をアピールしたりするのも不健全な話には違いない。それらのような話がある際には、今件の対外純資産額の実情は、大いに役立つことだろう。
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