新聞を読んでいる人は1日何分ぐらい目を通してるのだろうか
2022/12/29 02:00
紙媒体としての新聞の閲読率は減少中で、財団法人新聞通信調査会が2022年11月13日に発表したメディアに関する全国世論調査によれば、直近の2022年度においては頻度を問わずに新聞を読んでいる人は58.0%、毎日読む人に限ると40.3%にとどまっている。さらにいえばこれら「新聞を読んでいる人」に関しては、どれだけの時間を費やしているかは一切考慮されていない。今回はこの「新聞閲読者における閲読時間」を詳しく見ていくことにする(【発表リリース:第15回メディアに関する世論調査結果】)。
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新聞を読む時間は平均約25分、70歳以上は約34分
今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、トップはNHKテレビ(最新)】を参照のこと。
冒頭にある通り、今調査対象母集団では新聞の毎日閲読率は4割ほど、頻度は問わずにとにかく読んでいる人は6割近くとなる(購読ではなく閲読なので、回答者自身が新聞を購入していなくとも読んでいれば該当することに注意)。このうちとにかく読んでいる人に対し、その新聞の1日あたりの閲読時間を尋ね、その平均値を算出した結果が次のグラフ。
なお2017年度までは単に閲読時間を尋ねていたが、2018年度以降はニュースとの接触時間の項目での設問となっている。そして比較される他メディアが例えば「NHKテレビのニュース」などとメディア名に「ニュース」がつけられており、新聞のみ単に「新聞」との記載となっている。厳密には2017年度までと2018年度以降との連続性は無いことに留意が必要になる。要は新聞にはニュースしか掲載されていないとの前提なのだろう。
さらに単純に「新聞」とあることから、朝刊だけでなく夕刊も該当すると解釈できる(2017年度までは朝刊と夕刊で別々の調査が行われていたが、2018年度からは「新聞」で包括している。恐らくは夕刊の影響力がほとんどないものと解釈されたのだろう。データは朝刊の値を継続して用いている)。
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(新聞を読む人限定、属性別、分)
直近年度の平均は24.5分。男女別では男性の方が長く、年齢階層別ではおおよそ年を取るに連れて長くなる傾向がある。
過去調査分からの変化を見ると、1年では大きな変化は起きていないようだが、中期的には30代までで増加、40代以降は減少していたように見える。もっとも30代までは新聞を読む人自身が大きく減っていることから、熟読する人のみが閲読者として残り、結果として平均値が上昇している(より厳選されていると表現すべきか)のかもしれない。
一方で2018年度以降に限れば、属性を問わずに減少しているように見える(直近年度では全体、そして一部属性にて前年度比で増加しているが)。もっともこれは設問の様式が変化したのが影響している可能性はある。2021年度や2022年度で複数の属性において前年度比で増加した動きを示したのは、新型コロナウイルスの流行で在宅時間が延び、読む機会が増えたからかもしれない。
13年間にこれだけ減った閲読時間
今調査では毎年ほぼ同じ条件で今項目に関する問いも実施している。単純比較できる最古のデータが2009年度分なので、それと比較した上で13年間の動きを見ていくことにする。
次に示すのは平均閲読時間の変化。全属性でマイナス、すなわち平均閲読時間が減少している。
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2022年度、新聞を読む人限定、属性別、分)
元々閲読時間が長いこともあり、おおよそ年上ほど減る分数も大きくなる。また、男女別では大きな差異が無いことから単純に年齢階層別での変化が生じていると見てよいだろう。ただし70歳以上は別で、あまり減っていないのは注目に値すべき動きではある。じっくり読んでいるのか、読むのに時間がかかるのか。
新聞を読む理由は人それぞれで、その理由を充足するのに必要な時間も人それぞれ。株式市況面の注目銘柄を読むだけなら10分もかからないし、地元面をじっくりと読み通すのなら数十分、社会面や政治面、経済面まで含めて読み通し、世の中のあれこれを把握するのなら一時間でも終わるまい(それらはすべてニュースと解釈できる)。
その閲読時間がおおよそ減っている現状からは、新聞で必要とされている情報が減少している実情が推測される。情報の流れ方そのものが加速化しているのも理由として挙げられるが、情報取得ツールとしての新聞の立ち位置が、相対的に少しずつ変化している現状もまた、閲読時間の変化に影響を与えているのかもしれない。
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