コロナ禍で減少加速…お年玉の実情の推移を家計調査から推測してみる
2022/12/27 02:00
先行記事【お年玉の実情を家計調査から推測してみる(最新)】において総務省統計局の家計調査の値を基に二人以上世帯限定ではあるが、直近年における自世帯や他世帯への子供に対するお年玉と推測できる額の動向を確認した。今回はその値を基に、直近年だけでなく過去の値も算出し、その経年動向を見ていくことにする(【家計調査】)。
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「他のこづかい」「贈与金」の具体的な定義や取得するデータの条件などは先行記事「お年玉の実情を家計調査から推測してみる(最新)」で確認のこと。
始めに示すのは、毎年1月における二人以上世帯の「他のこづかい」と「贈与金」の動き。家計調査では2000年以降についてこの値が取得できる。
↑ 「他のこづかい」と「贈与金」支出額の経年動向(二人以上世帯、円)(各年1月)
2000年以降に限れば「他のこづかい」「贈与金」双方とも漸減状態にある。「他のこづかい」は2002年の7385円がピーク、「贈与金」は2001年の28634円がピーク。それが直近の2022年ではそれぞれ1761円・14933円。ピーク時と比較すると「贈与金」は5割強にまで、「他のこづかい」は2割強にまで落ち込んでいる。景況感の悪化か、大人がケチになっているのか、お年玉にかかわる慣習の変化が生じているのか。
2021年では「他のこづかい」は平年通りの減少度合いだが、「贈与金」の落ち込み具合が著しいものに見える。これは新型コロナウイルスの流行により、帰省などがほとんどできなくなったことが原因と考えられる。新型コロナウイルスの流行下でも「他のこづかい」は自分の子供へのお年玉のため影響は受けないが、「贈与金」は他世帯の人へのお年玉となるため、帰省や正月の集まりで他世帯と出会う機会がほとんどなくなったため、必然的に渡す機会も減ったからに他ならない。直近の2022年では「贈与金」はいくぶん戻したものの、2020年と比べれば減少していることに違いはない。
そこでこの額についてそれぞれの年の消費支出の割合を算出する。消費支出とは世帯を維持していくために必要な支出であることから、普段使いするお財布の中身のどれほどの割合なのかを示していることになる。この値に変化が無ければ世帯単位でのお財布事情が悪化しているので、お年玉も減っていると見なせるのだが。
↑ 二人以上世帯の「他のこづかい」と「贈与金」(消費支出に占める割合)(各年1月)
多少の起伏感に違いはあるが、ほぼ金額そのものと同じような形状のグラフができあがった。つまりお年玉の額が減っているのは世帯のお財布事情が原因というよりは、お年玉に割く割合が減った結果ということになる。2021年の「贈与金」に限れば、新型コロナウイルスの流行で他世帯と会う機会そのものが減っているからとの推測も加わるのだが。
もう一つお年玉の金額が減っている原因として考えられるのは、世帯における子供の数が減っているからとするもの。子供が二人いる世帯では(年齢の差による金額の差異が生じる可能性はあるが)二人分のお年玉が必要になる。一人しかいない世帯ならば一人分で済むため、単純計算では半分の額で済む。これは他世帯へのお年玉に相当する「贈与金」でも当てはまる考え方。
そこで各年の平均世帯人数を基に子供の推定人数を試算し、2022年の値を基準として仮に他の年も世帯における子供の数が2022年と同じだとしたら、どのような金額になるかを計算した結果が次のグラフ。
↑ 二人以上世帯の「他のこづかい」と「贈与金」(直近年の推定子供人数をベースに調整、円)(各年1月)
減少度合いが緩やかになったことから、世帯における子供の人数が減ったことが影響を与えているようだが、それでも減少傾向にあることに変わりは無い。2021年の「贈与金」の急激な減少もほぼそのままの形で生じている。
単純に子供へのお年玉の相場が減少しているのか、それとも直接の金銭以外でのお年玉的なもの、例えば子供が欲しがっているゲームソフトを購入して渡すなどの方法にスタイルが変わっているのかもしれない。
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