政治面、地域面、社会面…それより満足されている新聞の記事とは

2022/12/23 02:00

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特定の趣向、あるいは業界向けの専門紙でない限り、新聞には多様な分野の記事が掲載される。テレビやラジオの番組欄(ラテ欄)、地元面、社会面、経済面、政治面など、さまざまな切り口で社会を知ることができるのが、新聞の長所でもある。今回は財団法人新聞通信調査会が2022年11月13日に発表したメディアに関する全国世論調査から、それらの新聞の記事に関して、それぞれの分野の記事がどれほどまでに満足されているのかを確認していくことにする(【発表リリース:第15回メディアに関する世論調査結果】)。

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今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、トップはNHKテレビ(最新)】を参照のこと。

次に示すのは、新聞の各分野の記事をその方向性などで区分し、それぞれの記事内容の満足度に関して全般的に「満足している」「まあ満足している」「どちらとも言えない」「やや不満である」「不満である」「ほとんど読まない」のいずれかから選んでもらい(結果として、あるいは新聞そのものを購読・閲読していない場合の選択として「無回答」も回答には加わる)、そのうち「満足している」「まあ満足している」を満足派と見なし、その回答者の割合を示したもの。例えばテレビ・ラジオ欄は44.8%とあるので、全体の4割台は新聞のテレビ・ラジオ欄に満足していることになる。

↑ 新聞の記事の満足度(満足派の割合)(2022年度)
↑ 新聞の記事の満足度(満足派の割合)(2022年度)

もっとも満足されている記事はテレビ・ラジオ欄。44.8%の人が満足している。ある意味、一番信頼できる、間違いの少ないコーナーでもあり、また日常生活において必要不可欠な、需要のもっとも多い情報の定期的な提供の場でもあることから、この値の高さも納得できる。次いで社会面、地域面と、生活に密着した情報が上位を占め、専門的な切り口の情報はやや値を下げる。スポーツ・芸能面の順位が低めに見えるのは、新型コロナウイルスの流行でスポーツ界や芸能界の動きが大人しかったからだろうか。そして社説が最後についている。

続いて主な項目の属性別動向。6項目しかグラフ上に存在しないのは、属性別まで値が公開されているのがこれらの項目のみだから。

↑ 新聞の「テレビ・ラジオ欄」「社会面」「地域面」に満足している(属性別)(2022年度)
↑ 新聞の「テレビ・ラジオ欄」「社会面」「地域面」に満足している(属性別)(2022年度)

↑ 新聞の「政治面」「経済面」「国際情勢面」に満足している(属性別)(2022年度)
↑ 新聞の「政治面」「経済面」「国際情勢面」に満足している(属性別)(2022年度)

一番満足度の高い記事「テレビ・ラジオ欄」は4割台の人が満足しているが、これはテレビやラジオを用いる時に欠かせない記事で、しかも毎日のように役立つ場面に遭遇するからに他ならない。最近ではインターネットで番組編成表を容易に取得できるようになったが、それでも新聞のラテ欄は有益であるとの認識が多い。男女別では女性の方が、そして年齢階層別では高齢者の方が役立つとの回答値が高くなっている。元々テレビ・新聞への愛着が強い層であるがゆえの結果であると同時に、インターネットを用いて番組編成表を取得する発想に至らない、その手立てが無い、取得ハードルが新聞経由の方が低いと認識している人が多いからなのだろう。

続いて「社会面」「地域面」がほぼ同率で4割台。男性は「社会面」の方が満足しているとの回答が多い。使う場面が多いからだと考えれば納得もできる。年齢階層別も年とともに満足度が上昇していく。

「政治面」「経済面」「国際情勢面」はいくぶん低め。男女別では男性の方がこれらの記事は満足度が高く出ている。年齢階層別では10-30代で満足度は低く、40代以降になると一段満足度が上がる。新聞そのものを購読していない層の存在が影響しているのだろうか。



今件各項目は新聞非購読層も含めた回答のため、当然読んでいない人は満足のしようがない。特に20代までにおいては新聞そのものの購読・閲読率も、値の動向に影響しているものと考えられる(詳しくは機会をあらためて解説するが、今件調査でもその通りの結果…20代までは新聞そのものを読んでいない人が多い…が出ている)。それとともに、各属性で新聞のどの分野の記事を好み、読み進めているかがおおよそ把握できる。「テレビ・ラジオ欄」は別枠にしても、地域面、社会面が強いのは、従来の「新聞」に対するイメージ通りといえる。

ちなみに各記事で「ほとんど読まない」とする回答値は次の通り。

↑ 新聞の記事の満足度(「ほとんど読まない」の回答率)(2022年度)
↑ 新聞の記事の満足度(「ほとんど読まない」の回答率)(2021年度)

一番読まれていないのは「社説」。多分に書き手側の自己満足的・妄想的な内容であり、中には面白い、価値のある内容も見受けられるが、概して読む価値を見出しにくい、目を通しすらされない、半公共財である新聞に掲載してもよいのかと疑いすら覚える内容であることは、インターネットの公式サイト上に転載されるに連れ、不特定多数の人に認識されつつある。この反応も理解はできるというものだ。


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