2055年には1億人割れ…日本の人口推移(高齢社会白書)
2022/11/15 03:00
内閣府は2022年6月14日、2022年版の高齢社会白書を発表した。この白書は日本の高齢化の現状、さらには将来予想をまとめたもので、日本の社会情勢を推し量る重要な資料を多数盛り込んでいる。今回はその白書に掲載されている各種公開値、統計の中から「年齢階層別の人口の現状と今後の推移」について抽出した上でグラフなどを再構築、さらには独自算出した値も加え、状況を鑑みることにする(【高齢社会白書一覧ページ】)。
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日本の高齢化については【増える独り身・高齢者のみ世帯…高齢者がいる世帯の構成割合(最新)】など多数の記事で解説しているが、今白書では国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に2065年までの人口・年齢階層別構成推移を算出している。それによると2065年時点では全人口の38.4%が65歳以上(高齢者)となり、2021年時点の28.9%から9.5%ポイントも増える形となる。より高齢な75歳以上(後期高齢者)に限れば14.9%から25.5%と、10.6%ポイントの増加となる。
↑ 日本の年齢階層別将来人口推計(高齢社会白書(2022年版)、万人)
↑ 日本の年齢階層別将来人口推計(高齢社会白書(2022年版)、総人口比)
推計によれば日本の総人口は2055年には1億人を割り込み9744万人、その後もさらに減少を続け2065年には9000万人を切るとされている。そしてそのうち3400万人近くが65歳以上の高齢者。
高齢者人口そのものは団塊の世代との兼ね合いもあり、2040年過ぎでピークを迎えるものの、それより下の世代、そして総人口も減少をしているため、高齢者比率は増加。2035年にはほぼ3人に1人が高齢者、そして2065年には約2.6人に1人が高齢者となる。
高齢者の中でも65歳から74歳(前期高齢者)と75歳以上(後期高齢者)の比率・数の推移も、高齢化の内情を推し量る上では欠かせない。多くの統計では「65歳以上」でひとまとめにされることが多く、その内情までは分からないからだ。次に示すのはその区分を明確化した上で高齢者の人数と対全人口比率を示したもの。65歳以上人口の推移でも、中を見ると微妙な変移が起きているのが確認できる(なお高齢化率の算出に際して1950-2015年では年齢不詳を除外して計算している)。
↑ 65歳以上人口(2020年以降は推計、高齢社会白書(2022年版)、万人)
↑ 65歳以上人口(2020年以降は推計、高齢社会白書(2022年版)、総人口比)
高齢者人口のピークは2040-2045年。以降は少しずつではあるが減少していく。一方で前期・後期高齢者比率は団塊の世代が後期に到達し始める2020年に逆転し、以降は「高齢者の中でも75歳以上の人数の方が多くなる」状況が継続することになる。2065年時点では「65-74歳」の2倍近くの数の、「75歳以上」の高齢者が存在する計算。見方を変えれば、全人口の1/4強が75歳以上となる。
極度な高齢化は生産や納税と福祉介護のバランスを崩し、社会構造の変革(生産人口比率の減少を伴う、このような高齢化の状況下では大抵において悪化を意味する)を強要されてしまう。【5割強は「負担増でも社会保障維持拡大」、「負担維持で保証引き下げ容認」は2割】との調査結果もあるが、負担が大きい若年世代が支えきれなくなるのは容易に想像ができる。とりわけ雇用や資産、社会保険料の観点で、現状ですでにその雰囲気が強い。少子化対策も合わせ「百年の大計」の言葉通り、先々を見据えた政策が強く求められるのは言うまでもない。
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