前年比プラス位は児童書と文芸のみ…出版物の種類別売上の変化(前年比)

2022/12/09 10:00

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昨今は「出版不況」「書籍不況」なる言葉も日常化し、紙媒体に関しては書籍に限らず新聞、そして手帳などの文房具ですら、ビジネスの上で厳しい状態が続いている。これもひとえにデジタル機器の普及に伴う、利用者側の購入・利用性向の変化によるもの。今回はその中から特に景況感の上で取り上げられることが多い出版物の売上状況について、主要種類別に関する動向を、日販の「出版物販売額の実態」最新版(2022年版)を基に確認していくことにする。

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出版物の分類別、売上高の前年比を記したのが次のグラフ。前年2020年分(今件では年度算出ではなく年算出、1月から12月の集計であることに注意)と比較するとプラス分類数は2つ。「児童書」「文芸」がプラスを示している。なお分類中「実用書」は「地図旅行」も含んでおり、「学参」は「辞典」も含み、「事典」「日記」「手帳」「その他」をまとめて「総記」と呼んでいる。

↑ 分類別売上高前年比(2021年)
↑ 分類別売上高前年比(2021年)

わずかだが前年比でプラスを示した「文芸」だが、大手書店や取次の2021年におけるセールスから勘案するに、「推し、燃ゆ」「52ヘルツのクジラたち」「白鳥とコウモリ」「そして、バトンは渡された」「沈黙のパレード」「マスカレード・ナイト」のようなヒット作が続々登場したのがプラス化の要因だと思われる。新型コロナウイルスの流行により在宅時間が延びた際、文芸作品を読むことが在宅での娯楽として選ばれたのかもしれない。また「推し、燃ゆ」は著者の宇佐見りん氏が同書で芥川賞を受賞しており、話題にも上っている。

「児童書」が堅調な値を示したのは、こちらもやはり新型コロナウイルスの流行で在宅勤務や在宅学習が推し進められたことにより、在宅時間が増えたことや、自己学習の必要性が増したのが原因だろう。

「新書」のマイナス11.6%をはじめ、「文庫」のマイナス7.6%など、マイナスの分類には大きな下げ幅を示しているものが多い。プラスを示した「文芸」「児童書」とは対照的な動きを見せており、二極化のような雰囲気なのが興味深い。「専門」は小幅な下げ幅にとどまっており、これを別途区分して三極化とすべきかもしれないが。



2014年分までの記事ならばこの後に、書店面積別の動向分析が入るのだが、「出版物販売額の実態」の2016年版(2015年分)からは関連値が非公開となってしまい、言及ができなくなってしまった。小規模、個人経営の書店の閉店が相次ぐ中で、状況把握には大いに役立つ内容だっただけに、残念でならない。


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(C)日販 ストアソリューション課「出版物販売額の実態2022」

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