高齢者、障がい者、外国人…賃貸住宅のオーナーの入居受け入れに対する拒否感実情(最新)

2023/12/08 02:26

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2023-1128賃貸住宅のオーナーの立場からすれば、賃料を満額、何の心配も無く受け取りたいもの。失踪してしまったり、事件性のある無しを問わずに住宅内で死亡しているのが発見されてしまったり、仲間を呼んで大騒ぎしたりまた貸しをしてトラブルが生じるなど、貸し手としては頭を抱えるようなリスクは避けたいのが人の常である。そのリスクが高いとの認識がある属性の人達への入居について、賃貸住宅のオーナーはどのような感情を抱いているのだろうか。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が毎年同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、その実情を確認する。

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各種調査要項などに関しては先行する記事【新築・既存ともに物件増加、特に既存物件が大幅増加…賃貸住宅会社の物件の増減実情(2023年発表分)(最新)】にて記載済み。そちらで確認してほしい。

次に示すのは、対象項目の属性を持つ入居希望者に対し、賃貸住宅のオーナーは拒否感を抱いているかいなかを答えてもらい、その回答をまとめたもの。「拒否感無し」「以前拒否感あり・今は無し」「拒否感あり・以前より弱し」「以前と変わらず拒否感強し」「以前より拒否感強し」のいずれかから選んでもらっている。また「拒否感無し」「以前拒否感あり・今は無し」を合わせて拒否感無し派と呼ぶことにする。

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(全国、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社における オーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(全国、前年度比)(2022年度)

高齢者に対しては7割強が拒否感無し派、障がい者もほぼ同値だが、高齢者は大きな拒否感が無くなる動きが生じていたことが分かる。他方、外国人に対しては拒否感無し派は3割足らずにとどまり、残りは強弱は別としても拒否感をいだいていることになる。

これを地域別に見たのが次のグラフ。
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社における オーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(関西圏、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社における オーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(関西圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏・関西圏以外、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社における オーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏・関西圏以外、前年度比)(2022年度)

首都圏ではオーナーの寛容さがよく現れている結果が出ている。高齢者への拒否感無し派は8割を超え、障がい者へもほぼ同値で、しかもほとんどすべてが「拒否感無し」となっている。外国人に対してのみ、全国平均とさほど変わらない値。

他方関西では拒否感無し派の値が非常に低く、高齢者では1割にも満たず、障がい者でも3割に届かない。外国人では2割足らず。さらに中身を見ると、昔は拒否感があったが今では無くなっているという「以前拒否感あり・今は無し」がほとんど数字に表れておらず、拒否感の変化があまり生じていない実情がうかがえる。

首都圏・関西圏以外では高齢者と外国人に関しては関西圏より拒否感無し派が多いものの、障がい者ではむしろ少なくなってしまっている。さらに「以前と変わらず拒否感強し」の値はすべてで関西圏より多い。

これらの動向を分かりやすくするため、「拒否感無し」にはマイナス2、「以前拒否感あり・今は無し」にはマイナス1、「拒否感あり・以前より弱し」にはプラス0.5、「以前と変わらず拒否感強し」にはプラス1、「以前より拒否感強し」にはプラス2のウエイトをかけて、DI値を計算したのが次のグラフ。この値が高いほど、拒否感が強いことになる。

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(DI値、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(DI値、前年度比)(2022年度)

高齢者への拒否感は関西圏のみプラスとなり、関西圏で高齢者への拒否感が極めて強い実情がうかがえる。一方、障がい者へは関西圏の拒否感は強いものの、それ以上に首都圏・関西圏以外での拒否感の方が強い実情が確認できる。さらに外国人に対しては、高齢者や障がい者よりも拒否感は強く、首都圏ですらもプラスの範ちゅうにあるのが分かる。

これらの動向に関して短観では、例えば高齢者については「貸主の不安を払拭する「孤独死保険」や「死後事務委任契約」などの高齢者入居をバックアップする支援策や、生活支援のための医療や安否確認などの公共サービスなどの充実によって拒否感は下がるものと考えられる。家賃債務保証の高齢者対応などでエリアによる温度差が感じられるが、各エリアがかかえる課題を把握したうえで超高齢化社会の進展に対応すべく取り組みを強化する必要を感じる」とし、今後の動向を見極めた上で判断すべきであると説明している。


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