5つの視点からメディアへの信頼度を年齢階層別に確認してみる

2022/10/31 02:00

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先行する記事【国内の政治や経済問題の情報源として、各メディアはどこまで信頼されているのだろうか】などで、総務省が2022年8月26日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、いくつかのジャンルに係わるニュースを取得する際に、人々がどのような情報源を信頼しているかを検証した。今回は調査で取り上げられている5つのジャンルについて、信頼度、そしてそもそも論としてそのメディアをニュース取得源として用いているか否かを確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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信頼度は年齢階層で差が生じるのか


調査要項などは今調査に係わる先行記事【主要メディアの利用時間(最新)】、信頼度などの計算方法は【国内の政治や経済問題の情報源として、各メディアはどこまで信頼されているのだろうか】を参照のこと。

信頼度は高い方が信頼されている、低い方が信頼されていない、1.50が信頼されている・されていないの境目。ただし信頼度の算出には「そのメディアを利用している人」が前提になるため、信頼に足りないので該当メディアを使っていない人も算出からは除外されることから、実情としての信頼度は今計測値よりもいくぶん低い値となることが推定される(信頼しているとの理由で該当メディアを使わない人はいない)。

抽出する年齢階層は、未成年者を多分に含む、そしてある意味特殊な生活環境に置かれている学生・生徒(中学生から大学生が対象)、若年社会人として20代、そして高齢層として60代。それぞれ、政治・経済問題(国内)、社会問題(国内)、海外ニュース、原子力の安全性、東アジアの外交問題の各ジャンルに関し、代表的なメディアとしてテレビ、新聞、インターネットニュースサイト、ソーシャルメディア、ブログ・その他サイトを挙げ、それぞれの信頼度を算出した。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(学生・生徒)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(学生・生徒)(2021年)

↑ 普段利用している情報源における信頼度(20代)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(20代)(2021年)

↑ 普段利用している情報源における信頼度(60代)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(60代)(2021年)

年齢的には近く、被っている部分もあることから、学生と20代は近い動きを示している。新聞をもっとも信頼し、次いでテレビ、インターネットのニュースサイトが続き、ソーシャルメディアやブログ・その他サイトはあまり信頼していない。ただしテレビや新聞への信頼度は学生よりも20代の方が低め。一般論レベルの話ではあるが、社会に出て経験を重ねることで、メディアに対する信頼度のウェイトが変化しているようすがうかがえる。

一方60代では大きな相対関係・順位に差は無いものの、ソーシャルメディアやブログの値がより低くなり、テレビや新聞の値がより高い値を示す。またインターネットのニュースサイトも高めの値だが、これは多分にテレビや新聞などの4マスの企業体による運営サイトをイメージしているものと考えられる。若年層と比較すると、物理メディアとインターネットメディアとの間の信頼性の格差が開いているようだ(インターネットニュースサイトをのぞく)。

「そもそも使っていない」人


上記にも記した通り、信頼度の算出にはそのメディアを利用していない人は除外されている。信頼度とは別に、元々単純にそのメディア全体を金銭的、身体上の理由で、費用対効果の上で使っていない人も多分にいるのだろうが、同時に信頼ならないので利用していない人もいることが考えられる。そこでそれぞれのジャンルに関して、該当メディアを情報源として使っていない人の割合を抽出したのが次のグラフ。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(学生・生徒、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(学生・生徒、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)

↑ 普段利用している情報源における信頼度(20代、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(20代、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)

↑ 普段利用している情報源における信頼度(60代、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(60代、そもそもその情報源を使っていない・知らない)(2021年)

信頼度の観点では近い学生・生徒と20代も、情報源としてのメディアの利用度合いでは違いを見せている。学生は該当する情報を取得する際に使っていないメディアが多め。

他方、高齢層は若年層とは大きな違いを見せる。テレビや新聞のような従来型の4マスはほとんどの人が情報源として用いているが、インターネット系はおおよそ利用そのものをしていない。それでもインターネットニュースサイトは6-7割台の人が利用しているものの、ソーシャルメディアやブログなどは2-3割台でしかない。そのメディアを使えるツール自身を持っていない、持っていてもアクセスする気にはならない人が多分にいるとはいえ、ここまで若年層と大きな差が生じているのでは、メディアを通して見える社会の有りようが違って見えるのも不思議ではない。



先行する記事で一部高齢層において、また今本文中でも、インターネットのニュースサイトに対する信頼度が高めに出る傾向があることについて、新聞やテレビなど従来のマスメディアが主催するサイトであるからこそ信頼するとの説明をしている。それは確かに一理あるが、その一方で利用者そのものが少ない状況を見るに、「信頼していない人はそもそも利用していない」のパターンが多分で、必然的に相応の信頼をしている人のみが利用している結果、平均値も高いものとなった可能性も否定できない。

今後スマートフォンやタブレット型端末がさらに浸透し、高齢層にもその利用が広まるにつれ、これらの値はどのような変化を示すのだろうか。非常に気になるところではある。あるいはスマートフォンが普及しても、「新聞」の記事を読む対象が紙から液晶に変わっただけとなるのかもしれないが。


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