スマートフォンを現在利用せずに「将来も欲しくない」は1.8%…スマートフォンと従来型携帯電話、非所有者の思い
2022/10/28 02:00
携帯電話のトレンドは従来型携帯電話からスマートフォンにシフトしつつあるが、一方で従来型携帯電話を引き続き愛用する・求める人も少なくない。現在の所有状況は各調査でよく知られるところではあるが、現在持っていない人たちの今後の所有願望はどのような実情にあるのだろうか。今回は総務省が2022年8月26日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、スマートフォンと従来型携帯電話それぞれにおける、現在の所有(利用)状況と今後の所有願望の有無を確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。
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スマートフォンを現在利用せずに「将来も欲しくない」は1.8%
調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間(最新)】を参考のこと。
次に示すのは回答者自身のスマートフォンに関する利用状況。世帯ベースでの所有状況ではないことに注意。利用している、非利用ならば将来欲しい(=利用したい)か、あるいは欲しくないか。なお機種に関する回答用紙の説明は「スマートフォン(iPhone、アンドロイド端末など)」となっている。
↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、属性別)(2021年)
↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2021年)
全体利用率は95.3%と9割台後半。男女別ではほぼ同率で、年齢階層別では10代ですでに9割を超えている。20-40代ではほぼ全員の状態。50代でも9割台後半、60代でも8割台後半。
就業形態別では無職以外で9割超え。無職が82.4%と低めなのは、定年退職後の高齢者が多分に含まれているのが原因だろう。
世帯年収別ではほぼきれいな形で高世帯年収ほど高利用率を示している。これもまた、毎月の通信料負担が大きな所有の要素となっていることがうかがえる。
現在スマートフォンを利用していない人の利用(≒所有)願望度合だが、全体では必要との意見の方がやや多い。一方で年齢階層別では、年が上になるのに連れておおよそ必要ないとの判断を下す人の割合が増えてくる。特に60代では6.2%が「スマートフォンは現在持っていないし、将来も欲しくない」としている。
年齢階層別のスマートフォン忌避傾向に似たような動きを示しているのが、世帯年収別の差異。おおよそ低世帯年収ほど非保有率が高いが、加えて非保有者内における「将来も欲しくない」派の割合も大きい。自分の環境から鑑み、コストパフォーマンスの観点で割に合わないとの判断が下されているのだろう。
従来型携帯電話はどうだろうか
続いて従来型携帯電話。いわゆるケータイ、ガラケー、フィーチャーフォン。回答用紙には「携帯電話(スマートフォンを除く。PHSを含む)」とあり、厳密にはPHSを含んでいる。また、スマートフォンとは別途の選択となっており、当然従来型携帯電話とスマートフォンの双方を所有している場合は、それぞれで「利用している」と回答していることになる。
↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、属性別)(2021年)
↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2021年)
全体で利用率は13.5%。10代でも5.0%が利用しているが、これは防犯用・保護者との連絡専用電話として子供向け携帯電話を与えられている事例があるため。以後、年とともに利用率は漸増していくが、40代で急上昇し、60代では実に1/4近くの利用率を見せる。また無職で高い値が出ているのは、この属性に属する人が多分に高齢者であることを連想させる。
世帯年収別では低世帯年収ほど所有率が高め(800万円以上でイレギュラーが出ているが)。これも高齢層の割合の高さ、そして通信料の負担を考慮し、スマートフォンを所有できない人がいるからだろう。一方で都市規模別では何らかの傾向は見出しにくい。
他方非保有者の動向だが、多分に「将来も欲しくない」とする意見で占められている。現在従来型携帯電話を利用していない人は、その多分がスマートフォンを利用しており、わざわざ再度従来型携帯電話に戻る意向を持つ人はあまりいないことになる。一時期は【従来型携帯の料金プランを使える新型Android搭載の従来型携帯がドコモから登場】などでも伝えている、いわゆる「ガラホ」が従来型携帯電話の底上げをするとも思われたが、昨今ではむしろ格安スマホが普及しており、さらにスマートフォンの利用率拡大は(特にコスト面で気にしていた属性で)進み、それとともに従来型携帯電話への需要は縮小していきそうだ。
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