テレビやインターネット、新聞やラジオはいつ使われているのか…時間帯別利用状況
2022/10/18 02:00
総務省では2022年8月26日に情報通信政策研究所の調査結果として「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を発表したが、その報告書には現在の日本人における情報機器とのかかわり具合を推し量れる多様なデータが盛り込まれている。今回はその公開値を基に、テレビやインターネットの利用(携帯電話、パソコン、タブレット型端末などすべてを含む)、新聞、ラジオの時間別の利用状況を確認していくことにする。これらの情報取得ツールはライフスタイルにおいて、どのような形で浸透し、利用されているのだろうか(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。
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テレビやネットの平日利用は朝と夕食、夜のプライベートタイムがピーク
調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。
次に示すのは調査対象母集団全体におけるテレビ(リアルタイム)(テレビ番組の視聴を意味する。パソコンのチューナー利用による視聴やモバイル端末によるワンセグ視聴も含まれる)、テレビ(録画)(録画した番組の再生による視聴)、インターネット(利用端末の種類は問わない)、新聞、ラジオの行為者率推移。この行為者とは、該当時間帯において連続して10分以上使った人のことを意味する。おおよその人が就寝している時間帯は少なく、起きている時間、しかもプライベートな時間は多数の人が利用するため、大きな値が現れる。
↑ 主なメディアの時間帯別行為者率(平日)(2021年)
平日のためテレビ(リアルタイム)は早朝と夕食時、そして就寝までのプライベートタイムにおける行為者率が高い。ピークは20時台で35.1%。お昼時にやや値が上昇するのは、職場のお昼休み時間に外食先で視聴する場合や、専業主婦、定年退職後の高齢層が食事をしながら視聴する場合があるため。インターネットもテレビとおおよそ同じ動きを示すが、日中は出先、学校や職場でスマートフォンなどを用いてアクセスする事例が多々あることから、テレビと立ち位置が逆転する。
そのインターネット行為者率は就業者による仕事中の利用も反映されるため、日中の値が高い。よく見ると朝に上がった後はそのまま高めの値を維持し、お昼時に一つの山が生じ、そして昼過ぎに下がった後は夕方以降に漸増している。これは朝の出勤・登校前あるいは中の利用に始まり、就業中、昼休み、帰宅時といった利用スタイルが反映された形となる(要は仕事とプライベートの利用による回答が混じっている)。
新聞やラジオは行為者率そのものが低いため、テレビなどと比べて大きな変化が見られない。ラジオが日中ほぼ一定値を示しているのは「ながら聴取」が多いため。また新聞は届いた朝刊を読む人が多いこともあり、朝の7時台がピークとなっている。夕食時もいくぶん値が上昇するのが興味深い。夕刊を読むケースもあるだろうが、むしろ夕食時に改めて朝刊を読み直していると考えた方が道理は通る。
テレビ(録画)はおおよそ夕食後、就寝時にかけて行為者率が上昇する。夜のプライベートタイムに時間を確保し、録画していた番組を観ているようだ。
休日は余裕があるので…だが夕食前後の利用が最多なのは変わらず
これが休日ともなると、いくつかの変化が生じるようになる。仕事や学校が無く、自由時間が多く得られるため、各媒体の利用スタイルにも変化が生じるからだ。
↑ 主なメディアの時間帯別行為者率(休日)(2021年)
テレビ(リアルタイム)の行為者率で食事時に盛り上がる状況は平日と変わらないが、それ以外の時間帯でもそれなりの高い率でテレビが視聴されている。そして何より朝食時の行為者率の山が1時間ほど後にずれており、平日よりも遅く起きて朝食を取るライフスタイルが垣間見られるのは興味深いところ。
テレビ(録画)は平日より高く、日中は数%を維持する。平日にとっておいた番組などをまとめて観ているのだろう。
インターネットは就業・学業で利用を妨げられなくなることから、昼食時の休み時間における行為者率の明確な山も発生せず、朝食後から夕食後まで行為者率はさほど変わらずに推移している。夕食後から就寝までの「夜のプライベートタイム」においてピークを迎えることは変わらない。ゲーム、あるいはソーシャルメディアなどでのチャットに勤しんでいるのだろうか。
テレビ(リアルタイム)とインターネットの平日・休日の差異を確認
利用スタイルが平日と休日で大いに異なるテレビ(リアルタイム)とインターネットについて、それぞれ平日・休日の値を抽出して同一グラフにまとめてみる。まずはテレビ(リアルタイム)。
↑ テレビ(リアルタイム)の時間帯別行為者率(平休日別)(2021年)
全般的には当然ながら、休日の方が行為者率はおおよそ高め。特に日中は大きな差が出ている。夕食時のテレビタイムでは休日の方がやや行為者率は高くなるものの、それ以降はほとんど変わりがない。また平日と休日で朝食時のタイミングが1時間ほどずれる状況がよくわかる。昼食時のピークは変わらないので、平日と休日でお昼ご飯の時間は同一なのだろう。
続いてインターネット。
↑ インターネットの時間帯別行為者率(平休日別)(2021年)
平日は仕事や授業の合間をぬって利用し(お昼休みには急増する)、一通り片付く夕方以降に行為者率が上がる。休日はテレビ同様起床時間のずれが生じるため立ち上がりは遅くなるが、それ以降はほぼ終日高い値を示し続ける。ピークが夕食時から就寝までとなるパターンに変わりはなく、行為者率にも大きな違いが見られない。これは見方を変えると、インターネット、恐らくはスマートフォンを利用している人の多くは、夕食後から就寝に至るまでの利用においては、平日も休日も変わらないスタイルを貫いていることが推測される。頻繁に利用する人は平日も休日も変わりない次第である。
テレビやインターネットの利用は年齢階層による特性があり、年齢によって利用状況は大きく異なってくる。あくまでも今件は調査対象母集団全体の、つまり世間一般における平均的な動向。年齢階層別動向に関しては、機会をあらためて精査することにしよう。
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