30代でも新聞は1割も読んでいない…主要メディアの利用状況

2022/10/13 02:00

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加速度的なスピードでメディアの進化が生じている昨今、年齢階層間のメディアギャップが問題視され、注目を集めている。身体的な能力の変化によるところもあるが、高齢層と若年層との間の利用メディアの差は非常に大きく、いわゆる世代間格差(ジェネレーションギャップ)は社会問題にすらなりつつある。今回は、総務省が2022年8月26日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の内容を基に、年齢階層別の主要メディアの利用状況を行為者率の視点から確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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平日と休日、年齢階層別主要メディアの利用状況


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間(最新)】を参考のこと。次に示すのは主要メディア(雑誌は欠けているが)の年齢階層別平均行為者率を示したもの。「行為者率」とは該当する区分の期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す。いわば利用者率である。例えば平日・テレビ(リアルタイム)・10代の値は56.7%とあるので、10代で平日1日にリアルタイムでテレビを連続で10分以上(調査用紙に「10分以上利用した場合は」との記述がある)視聴した人は56.7%いることになる。

↑ 主要メディアの平均行為者率(平日)(2021年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(平日)(2021年)

↑ 主要メディアの平均行為者率(休日)(2021年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(休日)(2021年)

平日の動向を見ると、利用者率そのものはインターネットが一番高く、テレビ(リアルタイム)がそれを追い、新聞が続く形。そしてテレビはリアルタイムではおおよそ高齢層ほど行為者率が高く、録画もほぼ同じ動き。インターネットは30代がピークだが、50代までは8割超を維持する。一方で新聞やラジオの年齢階層間格差は大きい。新聞利用者率は10代で1.1%、20代でも2.6%にとどまるが、60代では55.1%と半数を超える。

よく論争の的になるインターネットとテレビだが、10-40代はインターネットの方が利用者率は高く、それ以降はテレビ(リアルタイム)の方が高い。利用した人それぞれがどのぐらいの長さで利用したかはまた別問題だが、少なくとも利用した・しないの区切りでもこれだけはっきりとした、年齢階層別のメディアギャップが見て取れる。

休日も基本的なメディア間・年齢階層別の動向に違いはない。プライベートな時間を取れる機会が増えることから、いくつかのメディアの利用者率が底上げされている感はある。特にテレビ(録画)は大きく増加しており、平日に録画した番組を休日にまとめて視聴するスタイルが透けて見える。

休日と平日の差をチェック


生活リズムや各種メディアの利用状況において、平日と休日では過ごし方、時間の消費方法は随分と異なる。そこで休日値における平日との差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要メディアの平均行為者率(休日値の平日値との差異、ppt)(2021年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(休日値の平日値との差異、ppt)(2021年)

テレビ(録画)は休日の方がおおよそ利用率は高い。上記で触れた通り、平日に録画した番組を休日にまとめて視聴するのだろう。

インターネット、新聞、ラジオは休日の方がおおよそ利用率は低い。仕事で利用しているので休日は利用しない、あるいは仕事や学業、さらにはテレビ視聴とのながら利用のため、休日はテレビ視聴に専念しているのだろうか。特にラジオでは自動車を運転しながら聴いている、家事をしながら聴いているなど、ながら利用のパターンが容易に想定できる。

前年比の算出をしてみると


最後に示すのは前年分、2020年調査分の結果との差異を算出したもの。

↑ 主要メディアの平均行為者率(平日、前年比、ppt)(2021年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(平日、前年比、ppt)(2021年)

テレビ(リアルタイム)、新聞、ラジオが減る傾向にある。特にテレビ(リアルタイム)の減り方が著しい。20代では13.8%ポイント、30代でも12.4%ポイントもの減少が見られる。



メディアとの接触、利用率や利用時間は、個々の年齢階層におけるメディアへのスタンスを推測できる、重要なデータに他ならない。特にメディア関連の技術が著しいスピードで進歩し、普及している昨今では、その変化は他のさまざまな社会事象を検証する上で非常に役立つものとなる。今件調査の継続を願い、その結果発表に期待したいところだ。


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