産出量51.3万キロリットル、輸入依存度は99.6%…国産原油供給量(エネルギー白書)

2022/08/10 02:00

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資源エネルギー庁は2022年6月7日付で「エネルギー白書2022」の詳細値を公開した(【エネルギー白書一覧ページ】)。今回はその白書から取得できる各種情報を基に、日本国内における原油の供給量、つまり日本の原油採掘事情を確認していくことにする。

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「日本では石油(原油)消費量のほぼすべてを輸入に頼っている」との事実は誰でも世間一般レベルの常識として理解している。しかしその一方で、ごく少量ながら日本国内でも原油は産出していることを知る人はさほど多くない。有名なのが国際石油開発帝石(INPEX)の八橋油田(【石油精製・オイルターミナル・八橋油田】)。



↑ 秋田県内・八橋油田のようす。
↑ 秋田県内・八橋油田のようす。

これらの国内油田から産出される原油の産出量推移が次のグラフ。ややぶれが大きいが、1960年以降の限りで見れば、年間50万から100万キロリットルの原油を産出していることになる。直近の2020年度では51.3万キロリットル。

↑ 国内生産原油量(千キロリットル)
↑ 国内生産原油量(千キロリットル)

直近の2020年度における産出量51.3万キロリットルは、表現を変えれば5億1300万リットル。仮に自動車1台あたりの満タン量を50リットル、原油から精製されるガソリンの割合を3割とすると約308万台の自動車を満タンにさせるだけのガソリンが供給できることになる(※正確には原油からガソリン・重油などさまざまな石油派生物を精製する際において、原油の種類によって精製比率が異なる)。

この値だけを見ると「国産でもそれなりにイケるのでは」との印象を得るかもしれない。しかし次のグラフを見ると、厳しい現実を突きつけられることになる。各年度の原油「輸入量」と日本国産原油生産量を「同じ縦軸単位」で積み上げ、日本国内で供給される原油量の推移を示したもので、2020年度の値まで対応している。

↑ 国内生産原油量と輸入原油量(千キロリットル)
↑ 国内生産原油量と輸入原油量(千キロリットル)

グラフ作成時に縦を引きのばし、さらに拡大してようやく…まず気がつくのは「国内生産」の色が見当たらないこと。そして縦軸の区切り値が先のグラフと数ケタ違うこと。あまりにも国産と輸入量の差が大き過ぎ、このサイズでは「国内生産」分がグラフ上に反映されなかったのが実情。

このグラフを縦に引き延ばしてようやく、ほんのわずかにグラフ上に「国内生産」が現れる。いかに日本が大量の原油を輸入しているか、そして国産原油量だけでは足りないか、その実情が分かる。無論ガソリンだけが原油の使い道では無く、多様な方面に使われる。当然、必要な量も増える。

状況を把握しやすいよう、輸入原油が原油供給量全体に占める割合を、折れ線グラフにしてみる。言い換えれば「日本の原油・輸入依存率」。

↑ 日本の原油輸入依存率
↑ 日本の原油輸入依存率

原油の利用量が増えるにつれ、あまり生産量の変わらない国産原油の比率は落ち、1954年に95%、1960年に98%、1964年に99%を超えてからは、それぞれの値以下に戻ること無く、依存度は高いままを示している。最新の2020年度では、原油全体に占める日本国産原油の比率は0.4%。見方を変えれば国内で利用している原油の99.6%を輸入に頼っていることになる。

輸入量99.6%がどれくらいのものなのか、ビジュアル化してみよう。2020年度の原油使用量全体を2リットルのペットボトル1本分にすると、国産原油量は約8ミリリットルに過ぎない。目薬1つが15ミリリットル前後なので、その5割程度。

↑ 年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬5割程度にしか過ぎない
↑ 年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬5割程度にしか過ぎない

いかに現在の日本が輸入原油に頼っているか、その実態が分かるはずだ。



原油・石油を大量に消費する社会構造は一朝一夕では変えられない。また変える必要があるか否かの問題もある。単に燃料として消費するだけでなく、原料として用いて商品を製造し、その商品を輸出する製造スタイルの企業も多い以上、燃料としてだけでなく原材料としても使われる原油・石油は、社会を平常のまま維持するためには必要不可欠なもの。さらに【「老体に 鞭を打たせる 無知さかな」...今冬の火力発電所の実情】などで触れているが、汎用性の高いエネルギーである電気を生み出すのにも使われている。

しかしそのような社会構造は、現状のように輸入原油価格が高騰すると、社会全体で支出の大規模な増加を迫られることになる。また、原油は地域偏在度が高く、日本は資源確保の観点では不利な立場にある。

リスク分散の観点で考えれば、輸入原油に頼り切ることがいかに危ういかは容易に理解できる。国産原油の生産量増加がほぼ不可能であることを考えれば、エネルギーにおけるさまざまな方面での分散が必要課題であることは言うまでもない。


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