生産量は年間38.8億食、一番食べられているのは12月…即席ラーメン記念日にちなんでカップ麺のあれこれをデータでチェック
2022/08/16 02:00
1958年8月25日に日清食品から世界初となる即席ラーメン(インスタントラーメン)の「チキンラーメン」が発売されたことで、8月25日は即席ラーメン記念日に制定されている。そこで今回はこの記念日にちなみ、総務省統計局の調査「家計調査」のデータの中から広義で該当するカップ麺の数字的な動向を多方面から確認し、即席ラーメンのあれこれを学んでいくことにする。
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用いるデータは総務省統計局の【家計調査年報】からのもの。対象とする品目はカップ麺だが、言葉の定義としては次の通りとなる。
・カップ麺…カップ状のものに麺や具材が入り、お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。カップラーメン、カップそば、カップうどん
即席ラーメンが生まれた時の対象品は袋麺だけだったのでそのまま即席麺と同じと考えてよいが、現在ではカップ麺も該当すると解釈してもよい。元々現在では即席ラーメンはそのままインスタントラーメンと呼ばれており、その言い回しならばカップ麺も該当することになるはず。一方で狭義では袋麺、つまり即席麺のみを即席ラーメンと呼ぶこともある(公正競争規約上はカップ麺は「即席カップめん」)。なので今回のカップ麺に関するあれこれは、あくまでも広義の意味での即席ラーメンの動向と解釈するべきだろう。
まずは日本におけるカップ麺の生産量。これは日本即席食品工業協会の公開データを基にしている。
↑ カップ麺の生産量(億食)
具体的な数字が示されているもっとも古い年は1971年の400万食。1971年9月18日に発売された日清食品のカップヌードルが、一般販売されたカップ麺としては初めてのものである。翌年の1972年には1億食、その翌年の1973年には4億食と、勢いよく生産量は増えていく。1977年の13.5億食で急上昇の勢いはようやく落ち着くが、それ以降も強弱はありながらも右肩上がりの形で生産量は増加。新型コロナウイルスの流行で内食需要が増加している2021年においては、カップ麺は意外にも前年比マイナス1.1%の38.8億食。単体としてではなく、プラスアルファの食材をのせて食べるスタイルを取りにくいカップ麺は敬遠されたのかもしれない。
続いて月単位のカップ麺への支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できるのは二人以上世帯のみなので、二人以上世帯の動向を確認する。1年分丸ごと確認できる最新分となる2021年の動向は次の通り。
↑ カップ麺への支出金額(二人以上世帯、月額、円)(2021年)
一番支出金額が大きい月は12月。次いで3月。3月は年度末、12月は年末のため、何かと忙しくなることから、短時間で調理できるカップ麺が好まれて食べられているのかもしれない。
それではカップ麺への支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯で継続する形でのデータが取得できる2005年以降の動向を確認したのが次のグラフ。
↑ カップ麺への支出金額(総世帯、年額、円)
生産量はおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう。2011年から2013年にかけて減少の動きを示すも、それ以降は再び増加。直近年となる2021年は記録のある限りでは最高額となる4526円を示している。
最後はカップ麺への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。
↑ 年間カップ麺支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2021年)
↑ カップ麺の年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2021年)
直近の2021年でカップ麺への支出金額が一番大きいのは青森県の5919円。次いで福島県の5628円、宮城県の5605円。ちなみに支出金額が一番小さいのは沖縄県で3092円。トップの青森県と比べると5割強でしかない。
実情を日本地図に反映させてみたが、地域別動向の類は見出しにくい。東北地方が多め、西日本が少なめかな、という雰囲気が見られる程度。それゆえにトップの青森県が大いに目立つ。海が近いからカップ麺をよく食べる、人口密集地帯ではカップ麺が好まれるという類の話はなさそうだ。
技術進歩による多様化、高品質化でカップ麺は保存が利き気軽に食べられる食品として大いに普及することとなった。今ではさまざまな種類の麺類が、簡単に誰にでも食べることができるようになっている。
他方、カップ麺の登場でわき役的なポジションに追いやられた即席麺(袋麺)だが、新型コロナウイルスの流行による内食の需要拡大により、手を加えやすいベース的な主食としての価値が再認識され、多くの人に注目されるようになった。今後はカップ麺と即席麺はそれぞれのすみ分けを明確化し、付加価値を高めながら、即席ラーメンを盛り上げていくのだろう。
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