乳幼児の経済的な世帯負担額
2020/08/26 04:00
日常生活の上で自立が困難な子供は、大人による庇護の下で生活が必要不可欠。特に小学校に入学する前の乳幼児では、多分な手間も、経済的な負担も必要となる。今回は厚生労働省にて発表された年次定点観測的調査「国民生活基礎調査の概況」の公開データをもとに、経済的な負担の実情を確認していくことにする(【発表ページ:令和元年 国民生活基礎調査の概況】)。
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今調査の調査要件や注意事項は、今調査に関する先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。
次に示すのは乳幼児が一人いる世帯における、世帯ベースでの育児にかかった費用の平均値。一か月あたりの金額となる。具体的に必要となる要素としては保育費、医療費、家具・寝具などの費用、衣服費、衛生費、乳児にかかる費用(ミルク代、離乳食代、紙おむつ代など)、小遣い、おもちゃ代、運動用具代などの費用。ミルク代、離乳食代は含まれるが、それ以外の飲食費や光熱水道費、住居費などは含まない。要は原則として、その乳幼児が居ることで初めて発生する費用。
↑ 育児にかかった平均額(乳幼児が一人いる世帯、一か月あたり、乳幼児の年齢階層別、万円)(2019年)
特定一か月における総費用の平均値のため、年ベースで利用するものを調達した世帯の回答も含まれていることから、単純な消耗品のみの費用よりは多少なりとも上のはず。0歳では3.3万円、年齢とともに金額も上乗せされ、6歳では4.8万円となる。単純に12倍して年間費用を試算すると57.6万円。小さからぬ負担に違いない。
専業主婦ならば育児の多分を父母が行えるが、兼業主婦などでそうはいかない場合も多々ある。その場合、保育所などに日中預け入れをお願いすることになるが、当然相応の費用がかかることになる。施設利用をしている人としていない人では、当然している人の方が費用は大きなものとなる。空欄の属性は該当する回答者がいなかったことを意味する。
↑ 育児にかかった平均額(乳幼児が一人いる世帯、一か月あたり、乳幼児の年齢階層別・施設の利用の有無別、万円)(2019年)
4歳で差異は縮まるが、それ以外はおおよそ2倍前後の差がついている。施設を利用するのは多分に家計の補てんのための就業によるものだが、そのために費用がさらに上乗せされるのは、仕方がない面もあるものの、理不尽さを覚えるのも否定はできない。
具体的な利用施設別の費用は次の通り。
↑ 育児にかかった平均額(乳幼児が一人いる世帯、一か月あたり、乳幼児の年齢階層別・施設の具体的利用先別、万円)(2019年)
認可保育所や認定こども園は安め、幼稚園はややお高くなるがそれでも数千円の上乗せ程度。しかし認可外保育施設になると万単位での上乗せが求められることになる。施設の性質上高コストとなるのは仕方がないが、経済上の負担を少しでも減らすためには、認可保育所や認定こども園のカバーできる領域をさらに拡大していくことが求められるのだろう。
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