同じように見えて実は随分と…男女別で都道府県別喫煙率(国民生活基礎調査)

2020/08/22 05:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
先行する記事で厚生労働省が2020年7月17日に発表した令和元年(2019年版)となる「国民生活基礎調査の概況」の公開データを基に、都道府県別の喫煙率の現状について確認を行った。一方で喫煙率は男女間で大きな違いがあることでも知られている。そこで今回は男女別々に区分した上で、都道府県別の喫煙率を確認していくことにする。記事タイトルにある通り、地域別の喫煙率は男女で同じように思えるのだが(【発表ページ:令和元年 国民生活基礎調査の概況】)。


スポンサードリンク


今調査の調査要件および注意事項は、今調査に関する先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

早速だが次に示すのは、「男女別」の都道府県別喫煙率。これは喫煙状況について20歳以上の人に「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」のいずれかに該当するかを尋ね、そのうち「毎日吸っている」「時々吸う日がある」を喫煙者と判定し、全体に占める比率を算出したものである。例えば女性・大阪府の値は10.4%と出ているので、大阪府に住む成人女性の喫煙率は10.4%という次第。男女で横軸の区分が異なっているので要注意。

↑ 喫煙率(男性、都道府県別)(2019年)
↑ 喫煙率(男性、都道府県別)(2019年)

↑ 喫煙率(女性、都道府県別)(2019年)
↑ 喫煙率(女性、都道府県別)(2019年)

全般的に男性の方が女性よりも喫煙率は高い。その傾向はすべての都道府県で変わらない。他方、都道府県別の並びは男女で揃えてあるのでパッと見で把握できるが、男性の喫煙率は地域による差がさほど出ないのに対し、女性では地域別の差異が結構大きな形で出ているのが分かる(無論、%ポイントの差では男性の方が大きいが、全体に占める比率では見た目で判断できる)。

例えば全体では喫煙率トップの北海道(22.6%)だが、男性に限れば青森県や岩手県などよりも低い。しかし女性では群を抜いてトップについている。喫煙率の絶対値は男性の方が高いのだが、女性の高率度合いが全体値を大きく押し上げていることになる。「男性は他地域とさほど変わらないが、女性の際立った高さが全体を引き上げる」事例としては、他に大阪府などが該当する。

男女差の動向を別の切り口から見たのが次のグラフ。男性喫煙率が女性喫煙率より高いのはすべての都道府県で共通なので、男性の喫煙率が女性の何倍かを算出し、その値をグラフにまとめたもの。この値が高い方が、男女の喫煙率の差が(比率的に)大きい。%ポイントでの差ではないことに注意。

↑ 喫煙率(男性の喫煙率は女性の何倍か、都道府県別)(2019年)
↑ 喫煙率(男性の喫煙率は女性の何倍か、都道府県別)(2019年)

先に挙げた「女性の喫煙率が他地域よりも高く、全体値を引き上げている」事例の北海道や大阪府などでは倍率が2倍台に留まっており、男女の差がさほど大きくはないことが分かる。似たような傾向は埼玉県や千葉県、京都府や沖縄県でも確認できる(3倍未満)。女性のみの喫煙率を見直すと、確かにいずれも他地域よりは(多少ながらも)高めの値が出ている。

女性の喫煙率が他地域より高い値が出る都道府県に関して、それを後押しする特定の社会現象や地域環境、法的制限の類は確認できない。東京都と大阪府だけなら「企業が集約している」「女性の社会進出が進んでいるため、それとともに喫煙率が上昇しうる」との仮説も成り立つが、他に該当する地域も合わせると、その仮説も的は外れているように見える。

ともあれ、男性の喫煙率が女性よりも高いのは全国共通に違いないが、その差異は地域によって千差万別、中には女性が男性の半分程度の喫煙率にまで達しているところもあることには、留意をしておくべきだろう。


■関連記事:
【アメリカ合衆国の喫煙状況】
【年齢階層別喫煙動向(JT発表)】
【2018年の全体喫煙率17.9%、男性3割切れ継続・女性は9%割れまで減少(JT発表)】
【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率】
【喫煙率の後日談・地域別喫煙率の違いはあるけど......】


スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS