会社役員、社員、アルバイト、そして自営業や内職者…有業者一人あたりの平均所得
2022/10/08 02:00
厚生労働省では2022年9月9日に令和3年版(2021年版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表したが、それによると2020年時点における全世帯の平均世帯所得は564.3万円であることが明らかになった。この値は有業者の数や就業状況によって大きな違いを示している。そこで今回は、就業状況別に有業者における所得水準を確認し、職の立ち位置による所得の違いを見ていくことにする(【発表ページ:令和3年 国民生活基礎調査の概況】)。
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今調査の調査要件および注意事項は、先行記事の【世帯平均人数は2.37人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】で解説しているので、そちらを参照のこと。また今記事(を含めた国民生活基礎調査)における「所得」の概念に関しては先行記事の【世帯平均所得は564.3万円…世帯あたりの平均所得金額推移(最新)】で確認のこと。
次に示すのは15歳以上における有業者の、就業状況別の平均年間所得。属する世帯全体ではなく、働き手本人の所得であり、世帯構成や人数で変化は生じないことに注意。なお「国民生活基礎調査の概況」では所得は給与・賃金以外に賞与も該当し、税金や社会保険料も含んでいる。現物支給の場合は時価で見積もった額に換算して含めている。ただし事業所得(自営業など)では収入から仕入れ原価・必要経費(税金・社会保険料は該当せず)を差し引いた金額となる。
↑ 有業者一人あたり平均所得金額(15歳以上、勤め先での呼称など別、万円)(2020年)
調査対象母集団全体では361.4万円。これが会社などの役員となるとほぼ倍の733.4万円となる。正社員では456.1万円だが非正規では191.6万円と半分にも満たない。ただしこれはパートやアルバイトが混じっているからで、派遣社員や契約社員・嘱託では296.8万円となる。
自営業者は374.0万円。ただ職種によりピンからキリまでなので、あくまでも今調査の対象となった人の平均としての参考値程度に見るのが無難。むしろ内職などの場合、180.0万円との具体的な値が確認できたのは注目すべき。
これを男女別に見たのが次のグラフ。
↑ 有業者一人あたり平均所得金額(15歳以上、勤め先での呼称など別・男女別、万円)(2020年)
女性は男性のおおよそ半分ぐらいの金額にとどまっている。これは不思議なことにどのような就業状況でも変わるところが無い。役員の立場ですら、女性は408.6万円で、男性の正社員の平均より低い。
最後に経年変化。「国民生活基礎調査の概況」の今件項目では2003年以降のデータが収録されている。役員や正規・非正規それぞれの推移は他の調査でも取り上げる機会も多いことから、ここでは非正規の詳細区分として、「パート・アルバイト」と「派遣社員、契約社員、嘱託など」について、男女別の動向を確認する。
↑ 有業者一人あたり平均所得金額(15歳以上、非正規社員、勤め先での呼称など別・男女別、万円)
意外にも取り扱われている期間内ではパート・アルバイトも契約社員なども、所得に変化はあまりない。むしろこの10年あまりの間に、男性のパート・アルバイト以外では上昇する動きすら見受けられる。雇用市場の変化に伴い、ここ数年は非正規でも時給が上昇していることは【アルバイトの時給動向(最新)】などでも確認できることもあり、今後は小さからぬ動きも見られるかもしれない。
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